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ざまあねえな!
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アルベルトとカルメンは外ずらだけ見れば不釣り合いな夫婦であった。そこそこ美男子なアルベルトと見方によればかわいいかもしれないふっくらとした平凡な娘のカルメン。そんな二人が夫婦なのは大抵の人々からすれば本人たちが幸せなら別に結構なことではないかといえた。でもそれが数多くの人々を不幸にする国家的危機を招いているのが現実だった。
アルベルト一行を乗せた馬車は脱出したがどこにも行けず立往生をしていた。あまりにも激しい暴風雨で視界を奪われたからだ。御者はこれ以上の移動は危険と判断し、旧クオモ邸の敷地内にある庭園に留め置いていた。その日の暴風雨は半端なものではなく王都の低地は浸水していた。
「大丈夫かカルメン!」
アルベルトはカルメンを抱きしめていた。それはまるで暖を取るために身体を寄せ合っている様であった。その時、カルメンの鼓動と体温を感じていた。
「大丈夫です、それよりも・・・」
カルメンは園遊会の出来事から今までのことを思い出して後悔しはじめていた。本当にこれでいいのかと。自分がアルベルトをモノにするためにした行いが、悪い方向に向かってしまったのかと。平凡なカルメンからすれば好きになった男がアルベルトだったのは偶々だった。平凡なら身分差も婚約者がいても叶わぬ恋で終わるだけの事のはずだった。でも、偶然父親が権力欲があって娘に王位継承者がぞっこんなのを奇貨としてクーデターを起こし成功したので、こうして夫婦になれた。でも、それは・・・
「わたしたちって大丈夫なのですか? カルメンと一緒になってよかったのですか?」
その言葉にアルベルトはドッキとした。カルメンと一緒になるために彼女の父親の企みに加担して国王になったまではよかったが、急激に事態が悪くなっているのを。いくら無能なアルベルトでも最悪な事態なのは分かっていた。外患内憂といっていい状態を。周辺国から国王と承認されず、国内は離反の動きがある。おまけに弾薬庫の爆発によって王宮は破壊され政府機能は不全に陥っている。
「それはな、答えは一つさ!」
そういってカルメンを強く抱きしめたが、それは答えを言葉にできなかったためだ。言葉で言えば”もうどうしようもない、一緒にいるしかない”であった。国王夫妻としていられるのも時間の問題ではないかと思っていた。
アルベルト一行を乗せた馬車は脱出したがどこにも行けず立往生をしていた。あまりにも激しい暴風雨で視界を奪われたからだ。御者はこれ以上の移動は危険と判断し、旧クオモ邸の敷地内にある庭園に留め置いていた。その日の暴風雨は半端なものではなく王都の低地は浸水していた。
「大丈夫かカルメン!」
アルベルトはカルメンを抱きしめていた。それはまるで暖を取るために身体を寄せ合っている様であった。その時、カルメンの鼓動と体温を感じていた。
「大丈夫です、それよりも・・・」
カルメンは園遊会の出来事から今までのことを思い出して後悔しはじめていた。本当にこれでいいのかと。自分がアルベルトをモノにするためにした行いが、悪い方向に向かってしまったのかと。平凡なカルメンからすれば好きになった男がアルベルトだったのは偶々だった。平凡なら身分差も婚約者がいても叶わぬ恋で終わるだけの事のはずだった。でも、偶然父親が権力欲があって娘に王位継承者がぞっこんなのを奇貨としてクーデターを起こし成功したので、こうして夫婦になれた。でも、それは・・・
「わたしたちって大丈夫なのですか? カルメンと一緒になってよかったのですか?」
その言葉にアルベルトはドッキとした。カルメンと一緒になるために彼女の父親の企みに加担して国王になったまではよかったが、急激に事態が悪くなっているのを。いくら無能なアルベルトでも最悪な事態なのは分かっていた。外患内憂といっていい状態を。周辺国から国王と承認されず、国内は離反の動きがある。おまけに弾薬庫の爆発によって王宮は破壊され政府機能は不全に陥っている。
「それはな、答えは一つさ!」
そういってカルメンを強く抱きしめたが、それは答えを言葉にできなかったためだ。言葉で言えば”もうどうしようもない、一緒にいるしかない”であった。国王夫妻としていられるのも時間の問題ではないかと思っていた。
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