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結婚式!
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アルベルトとカルメンが甘い時間を過ごしている間、王国は危機に陥りつつあった。宰相ネルディの圧政によってである。まず園遊会に参加していた者のうち、前国王側の穏健派貴族を投獄し、豪商からは財産を収奪した。それもこれもネルディがクーデターを起こす際に約束した、反乱の主力近衛部隊への報酬にあてた。
また前国王が周辺諸国への配慮から縮小してきた軍事費支出を増大するとして、大幅な増税を課すことを決定していた。それに反対する者に対しネルディは苛烈な弾圧をし、数多くの犠牲者が出ていた。
そういった国民の不満が爆発しかねない数々の政策の決裁を次々にアルベルトにさせたが、政治に興味のないアルベルトは真面に読まず考えもせずに署名し国璽を押印するだけであった。
「ねえ・・・いいわよ」
カルメンは淫らな声をあげていた。彼女の媚の売るような声にアルベルトは満足だった。この二人は刹那的な快楽に興じているのが最も幸せだった。第一王子と子爵令嬢は密通している。それは公然の秘密であった。その噂は貴族社会に蔓延していたが、なんら措置はなされなかった。
婚約者であったサンドラもそのことを知っていたが知らないふりをしていた。そのかわり王宮内で開催される舞踏会や貴族の子女が通う学校でカルメンと一緒になるといつも注意していた。それは将来の王妃の義務としておもったことであったが、カルメンにはただのいじめとしか受け取らなかった。そんな彼女がアルベルトに告げ口するときは話が大げさになっていた。サンドラがカルメンを突き飛ばすなど暴力を振るったりしたとか、食事に虫をいれたなどとかである。その全てが作り話であった。
そんなウソでもアルベルトは真実を確かめもせずにすべて信じてしまった。好きになったカルメンはウソなんかついていないと。完璧すぎて好きになれないサンドラの事がますます嫌いになってしまったわけだ。そんなアルベルトにネルディが付け入ったわけだ。今では国王夫妻を操り人形に変えてしまった。本人たちは自覚できなかった、そんなことは興味ないから。
「俺も・・・気持ちいい」
二人は認められない仲から夫婦として夜を過ごす喜びに浸っていた。二人の愛の歌を奏でても邪魔をする存在はなかった。そんな二人を離そうとしていたアルベルトの父は園遊会の朝に行動を起こそうとしたが全ては手遅れだった。ネルディ派の部隊に拘束されてしまった。それにサンドラはこの世にいない! そう安心していた。
「ねえ、いよいよ結婚式よね。ウェディングドレスはどうなっているの?」
ねだっている様な甘い声でカルメンはささやいでいた。多くの者はカルメンはあまり美人でないし才覚もない、才色双方に魅力ないといわれていても、アルベルトにとって彼女が一番だった。まさに「縦食う虫も好き好き」というわけだ。
「それは大丈夫、宝物殿に収められている歴代王妃のドレスから使えるのをより集めたそうだ。きっと君も満足さ」
アルベルトはうれしかった。あんな嫌いなサンドラとこの王宮で同衾することがないことに。横にカルメンがいてくれるだけでよかった。
「うれしい!」
そういってカルメンはまたアルベルトの腕の中にもぐりこんだ。どちらかといえば均整がとれていない肥満気味な体のカルメンであったが、二人の間は双方とも神々しいとおもっていた。二人はさっきと同じように契りを結び始めた。そしてまた夜は更けていった・・・
また前国王が周辺諸国への配慮から縮小してきた軍事費支出を増大するとして、大幅な増税を課すことを決定していた。それに反対する者に対しネルディは苛烈な弾圧をし、数多くの犠牲者が出ていた。
そういった国民の不満が爆発しかねない数々の政策の決裁を次々にアルベルトにさせたが、政治に興味のないアルベルトは真面に読まず考えもせずに署名し国璽を押印するだけであった。
「ねえ・・・いいわよ」
カルメンは淫らな声をあげていた。彼女の媚の売るような声にアルベルトは満足だった。この二人は刹那的な快楽に興じているのが最も幸せだった。第一王子と子爵令嬢は密通している。それは公然の秘密であった。その噂は貴族社会に蔓延していたが、なんら措置はなされなかった。
婚約者であったサンドラもそのことを知っていたが知らないふりをしていた。そのかわり王宮内で開催される舞踏会や貴族の子女が通う学校でカルメンと一緒になるといつも注意していた。それは将来の王妃の義務としておもったことであったが、カルメンにはただのいじめとしか受け取らなかった。そんな彼女がアルベルトに告げ口するときは話が大げさになっていた。サンドラがカルメンを突き飛ばすなど暴力を振るったりしたとか、食事に虫をいれたなどとかである。その全てが作り話であった。
そんなウソでもアルベルトは真実を確かめもせずにすべて信じてしまった。好きになったカルメンはウソなんかついていないと。完璧すぎて好きになれないサンドラの事がますます嫌いになってしまったわけだ。そんなアルベルトにネルディが付け入ったわけだ。今では国王夫妻を操り人形に変えてしまった。本人たちは自覚できなかった、そんなことは興味ないから。
「俺も・・・気持ちいい」
二人は認められない仲から夫婦として夜を過ごす喜びに浸っていた。二人の愛の歌を奏でても邪魔をする存在はなかった。そんな二人を離そうとしていたアルベルトの父は園遊会の朝に行動を起こそうとしたが全ては手遅れだった。ネルディ派の部隊に拘束されてしまった。それにサンドラはこの世にいない! そう安心していた。
「ねえ、いよいよ結婚式よね。ウェディングドレスはどうなっているの?」
ねだっている様な甘い声でカルメンはささやいでいた。多くの者はカルメンはあまり美人でないし才覚もない、才色双方に魅力ないといわれていても、アルベルトにとって彼女が一番だった。まさに「縦食う虫も好き好き」というわけだ。
「それは大丈夫、宝物殿に収められている歴代王妃のドレスから使えるのをより集めたそうだ。きっと君も満足さ」
アルベルトはうれしかった。あんな嫌いなサンドラとこの王宮で同衾することがないことに。横にカルメンがいてくれるだけでよかった。
「うれしい!」
そういってカルメンはまたアルベルトの腕の中にもぐりこんだ。どちらかといえば均整がとれていない肥満気味な体のカルメンであったが、二人の間は双方とも神々しいとおもっていた。二人はさっきと同じように契りを結び始めた。そしてまた夜は更けていった・・・
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