6 / 43
結婚式!
06
しおりを挟む 何かを得るために何かを失う、という言い方がある。アルベルトはサンドラを捨てることでカルメンを王妃にすることができた。おまけに国王に即位することができた。だからアルベルトの幸福感は最高潮を迎えようとしていた。ただし国王の責務というものは一切考えていなかったのであるが。
「カルメンをここに迎えることが出来てうれしい」
アルベルトが向かったのは王宮内の国王夫妻が生活する一角だった。昨日までアルベルトの両親が生活していた場所だ。ここの住民だった、両親と第二王子の弟と第二王女の妹と一緒に今頃は悪魔島に向かう船にいるはずだった。唯一兄弟で捕縛できなかった第一王女の姉は隣国の大貴族に嫁いでいるので難しかった。
「私もよ! 国王陛下!」
カルメンはおどけた仕草で迎えてくれた。二人の寝室は急遽アルベルトの部屋を用意したが、ゆくゆくは両親が使っていた寝室を使うつもりだった。そこの部屋は地味で古臭いので自分たち好みの派手な装飾を施した改装を計画していた。
「ところでカルメン、君との結婚式だが俺の即位式を行った続きでいいか? 一日でやるので忙しいけど」
アルベルトは上着を脱ぎながらいった。この光景はアルベルトが夢見ていたものだった。あの要らなかった婚約者のサンドラと一緒に暮らすなんて想像したくもなかったが、カルメンといればどこでも天国みたいに安らぐと感じていた。
「いいわよ、王妃になるのですから。ところでサンドラは死んだそうね」
アルベルトにネコのようにまとわりついたカルメンはいった。カルメンはそうやって甘えてくるのだ。カルメンの柔らかい手がアルベルトの頬に絡みつき、ふくよかな胸が覆いかぶさるのでアルベルトは陶酔したようになった。
「そうだよ。本当なら殺せば・・・まあ、ここで無粋な事は言わない。なんだって邪魔者は消えたからいいんだ。それよりも王宮で君とこうしていられるのはうれしい!」
そういうと寝台の上にカルメンを押し倒していた。アルベルトが平均以上だったのはおそらく女好きだったことだろう。今はカルメンにぞっこんだった。一方のカルメンは脱ぎやすいドレスを纏っていたので、今はアルベルトが喜ぶ姿になっていた。
カルメンは自分が思い描いていた現実になって満足だった。彼女もまたサンドラが消えてよかったと思っていた。あのままサンドラがいたら、カルメンはせいぜい国王の正式愛人として認知されるのが関の山で、名誉伯爵夫人として遇される未来しかありえなかった。それではアルベルトとの間に出来たお腹の子は王族になれなかった。
「わたしもよ!」
カルメンは笑顔だった。この国の女のなかで自分が一番幸せ者だと感じていた。こうやって国王の寵愛を独占しているから。二人はそのまま体を絡ませた。いままで日陰でやるしかなかった逢瀬を堂々とできる喜びを享受していた。多くの犠牲を払いながら・・・
「カルメンをここに迎えることが出来てうれしい」
アルベルトが向かったのは王宮内の国王夫妻が生活する一角だった。昨日までアルベルトの両親が生活していた場所だ。ここの住民だった、両親と第二王子の弟と第二王女の妹と一緒に今頃は悪魔島に向かう船にいるはずだった。唯一兄弟で捕縛できなかった第一王女の姉は隣国の大貴族に嫁いでいるので難しかった。
「私もよ! 国王陛下!」
カルメンはおどけた仕草で迎えてくれた。二人の寝室は急遽アルベルトの部屋を用意したが、ゆくゆくは両親が使っていた寝室を使うつもりだった。そこの部屋は地味で古臭いので自分たち好みの派手な装飾を施した改装を計画していた。
「ところでカルメン、君との結婚式だが俺の即位式を行った続きでいいか? 一日でやるので忙しいけど」
アルベルトは上着を脱ぎながらいった。この光景はアルベルトが夢見ていたものだった。あの要らなかった婚約者のサンドラと一緒に暮らすなんて想像したくもなかったが、カルメンといればどこでも天国みたいに安らぐと感じていた。
「いいわよ、王妃になるのですから。ところでサンドラは死んだそうね」
アルベルトにネコのようにまとわりついたカルメンはいった。カルメンはそうやって甘えてくるのだ。カルメンの柔らかい手がアルベルトの頬に絡みつき、ふくよかな胸が覆いかぶさるのでアルベルトは陶酔したようになった。
「そうだよ。本当なら殺せば・・・まあ、ここで無粋な事は言わない。なんだって邪魔者は消えたからいいんだ。それよりも王宮で君とこうしていられるのはうれしい!」
そういうと寝台の上にカルメンを押し倒していた。アルベルトが平均以上だったのはおそらく女好きだったことだろう。今はカルメンにぞっこんだった。一方のカルメンは脱ぎやすいドレスを纏っていたので、今はアルベルトが喜ぶ姿になっていた。
カルメンは自分が思い描いていた現実になって満足だった。彼女もまたサンドラが消えてよかったと思っていた。あのままサンドラがいたら、カルメンはせいぜい国王の正式愛人として認知されるのが関の山で、名誉伯爵夫人として遇される未来しかありえなかった。それではアルベルトとの間に出来たお腹の子は王族になれなかった。
「わたしもよ!」
カルメンは笑顔だった。この国の女のなかで自分が一番幸せ者だと感じていた。こうやって国王の寵愛を独占しているから。二人はそのまま体を絡ませた。いままで日陰でやるしかなかった逢瀬を堂々とできる喜びを享受していた。多くの犠牲を払いながら・・・
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
あなたへの想いを終わりにします
四折 柊
恋愛
シエナは王太子アドリアンの婚約者として体の弱い彼を支えてきた。だがある日彼は視察先で倒れそこで男爵令嬢に看病される。彼女の献身的な看病で医者に見放されていた病が治りアドリアンは健康を手に入れた。男爵令嬢は殿下を治癒した聖女と呼ばれ王城に招かれることになった。いつしかアドリアンは男爵令嬢に夢中になり彼女を正妃に迎えたいと言い出す。男爵令嬢では妃としての能力に問題がある。だからシエナには側室として彼女を支えてほしいと言われた。シエナは今までの献身と恋心を踏み躙られた絶望で彼らの目の前で自身の胸を短剣で刺した…………。(全13話)
真実の愛の言い分
豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」
私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
妹を溺愛したい旦那様は婚約者の私に出ていってほしそうなので、本当に出ていってあげます
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族令嬢であったアリアに幸せにすると声をかけ、婚約関係を結んだグレゴリー第一王子。しかしその後、グレゴリーはアリアの妹との関係を深めていく…。ある日、彼はアリアに出ていってほしいと独り言をつぶやいてしまう。それを耳にしたアリアは、その言葉の通りに家出することを決意するのだった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる