2 / 43
婚約破棄!
02
しおりを挟む
その時17歳であったサンドラは誰もが認めるほど美しく賢かった。金髪碧眼で女神のように均等の取れた顔立ち、娘としては神々しく素晴しい子供の母になるのは間違いなしの身体を持っていた。また経済に明るく軍事的才能もあるため、男なら優れた宰相もしくは軍人になれるといわれていた。
だが、そんな優れたサンドラは万能ではなかった。婚約者たるアルベルトと良好な関係を維持することは出来なかった、彼女が将来の国王の婚約者になったのは12歳であったが、その時から厳しいお妃教育を受けた。おかげで現在では歴史上最高の未来の王妃になれるのは間違いないといわれていた。しかし、アルベルトはそんな彼女を疎んじていた。アルベルトにとって要らない婚約者だと思っていたからだ。
アルベルトは平凡な男で保守的な性格をしていた。その最たるものは男尊女卑であったわけだ。サンドラのように自分よりも評価が高く尊敬される女は邪魔でしかなかった。それに彼女とは最初から気に入らなかったし。そんなことは彼女も知っているはずなのに、義務的な二人で過ごす時間もいつもにこやかにしているのが嫌だった。
園遊会が開催される朝、アルベルトはサンドラに一人で来るようにと通達を出した。それに応じてやってきた彼女が引きずり出されたのは婚約破棄を申し渡して断罪する場であった。
「サンドラ! お前はここにいる子爵令嬢カルメンに酷い仕打ちをしただろ! 身に覚えあるだろう! 証人も大勢いるぞ! それに相違ないだろう!」
アルベルトの怒気の籠った声が会場に響いていた。アルベルトはこれで要らなくなった婚約者を追放できると気分が高揚していた。一方のサンドラの顔はヴェールに覆われ表情を伺う事はできなかったが、人形のように微動だにしなかった。その時、群衆は恐ろしいイベントになると覚悟していた。国王が定めた婚約を王子が破棄するなんて前代未聞であったからだ。
「おい! 申し開きしないのか? 認めるのだな?」
その言葉にサンドラは首を左右に振った。
「認めないだあ? それじゃあ言わせてもらおう。ここにいるカルメン嬢の悪口を言いふらしただろ。そして本人を直接イジメただろ。その事を実証しようじゃないか?」
するとアルベルトの隣に近衛兵士が近寄って来た。この兵士が証言するように見えた。
「ここにいる諸君! この者はサンドラがカルメン嬢に対し手を挙げたのを目撃したといっている。それに汚い言葉で言いふらしているのも! そんな女がこの国で王妃になっていいはずはない。だから私は国王になる前にこの女を除去しなければならない!」
アルベルトの言葉に会場にいた者はヒソヒソ話を始めた。サンドラがそんな女って信じられないと。そしてアルベルトは一方的すぎるので、もしかするとカルメン側の主張を全面的に信じているのではないかと。これから大変な事が起きると。
そう、アルベルトは好きな彼女は全面的に悪くなく信用できると思い込んでいた。嫌いなサンドラの事など頭になかった。自分よりも目立つ婚約者は邪魔で目障りだから。自分の嫁にするのならカルメンのような甘えさせてくれる女がいいと考えていた。
だが、そんな優れたサンドラは万能ではなかった。婚約者たるアルベルトと良好な関係を維持することは出来なかった、彼女が将来の国王の婚約者になったのは12歳であったが、その時から厳しいお妃教育を受けた。おかげで現在では歴史上最高の未来の王妃になれるのは間違いないといわれていた。しかし、アルベルトはそんな彼女を疎んじていた。アルベルトにとって要らない婚約者だと思っていたからだ。
アルベルトは平凡な男で保守的な性格をしていた。その最たるものは男尊女卑であったわけだ。サンドラのように自分よりも評価が高く尊敬される女は邪魔でしかなかった。それに彼女とは最初から気に入らなかったし。そんなことは彼女も知っているはずなのに、義務的な二人で過ごす時間もいつもにこやかにしているのが嫌だった。
園遊会が開催される朝、アルベルトはサンドラに一人で来るようにと通達を出した。それに応じてやってきた彼女が引きずり出されたのは婚約破棄を申し渡して断罪する場であった。
「サンドラ! お前はここにいる子爵令嬢カルメンに酷い仕打ちをしただろ! 身に覚えあるだろう! 証人も大勢いるぞ! それに相違ないだろう!」
アルベルトの怒気の籠った声が会場に響いていた。アルベルトはこれで要らなくなった婚約者を追放できると気分が高揚していた。一方のサンドラの顔はヴェールに覆われ表情を伺う事はできなかったが、人形のように微動だにしなかった。その時、群衆は恐ろしいイベントになると覚悟していた。国王が定めた婚約を王子が破棄するなんて前代未聞であったからだ。
「おい! 申し開きしないのか? 認めるのだな?」
その言葉にサンドラは首を左右に振った。
「認めないだあ? それじゃあ言わせてもらおう。ここにいるカルメン嬢の悪口を言いふらしただろ。そして本人を直接イジメただろ。その事を実証しようじゃないか?」
するとアルベルトの隣に近衛兵士が近寄って来た。この兵士が証言するように見えた。
「ここにいる諸君! この者はサンドラがカルメン嬢に対し手を挙げたのを目撃したといっている。それに汚い言葉で言いふらしているのも! そんな女がこの国で王妃になっていいはずはない。だから私は国王になる前にこの女を除去しなければならない!」
アルベルトの言葉に会場にいた者はヒソヒソ話を始めた。サンドラがそんな女って信じられないと。そしてアルベルトは一方的すぎるので、もしかするとカルメン側の主張を全面的に信じているのではないかと。これから大変な事が起きると。
そう、アルベルトは好きな彼女は全面的に悪くなく信用できると思い込んでいた。嫌いなサンドラの事など頭になかった。自分よりも目立つ婚約者は邪魔で目障りだから。自分の嫁にするのならカルメンのような甘えさせてくれる女がいいと考えていた。
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
夫のかつての婚約者が現れて、離縁を求めて来ました──。
Nao*
恋愛
結婚し一年が経った頃……私、エリザベスの元を一人の女性が訪ねて来る。
彼女は夫ダミアンの元婚約者で、ミラージュと名乗った。
そして彼女は戸惑う私に対し、夫と別れるよう要求する。
この事を夫に話せば、彼女とはもう終わって居る……俺の妻はこの先もお前だけだと言ってくれるが、私の心は大きく乱れたままだった。
その後、この件で自身の身を案じた私は護衛を付ける事にするが……これによって夫と彼女、それぞれの思いを知る事となり──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる