4 / 6
第一章・転生したらモフモフケモノでした
03・モフモフケモノ
しおりを挟む
わたしが転生したモフモフケモノのアグラッシュは、この世界では理性と知恵と体力を持った家畜であった。売買の対象であるし財産であった。所有者からすれば頼りになる反面、反逆する危険もある。そのため、所有権移譲の場合には、それなりの儀式が必要だった。
その日のセリが終わり、セリを主催したデブ氏ことセルゲイ・オルノフはホクホク顔をしていた。手数料込み間違いなく88000ディナール分の金貨がたっぷり入った皮袋の中身を確かめていた。出荷元に引き渡してもなお、16000ディナールも手元に残る! セルゲイはその金で何が出来るだろうかという事を考えていた。すると目の前にいたアグラッシュとその新しい所有者が立っていた。
「ねえ、お金を渡したんだから早くやってもらえない? そこに見せたでしょ、アグラッシュの所有許可と冒険隊組織許可の勅許状、それと・・・」
女騎士姿の第三王女ソフィアはセルゲイに近寄っていた。彼女はその時17歳で、騎士としては半人前で冒険者を組織する素質がある様に見えなかった。宮中の舞踏会でダンスをしている方がお似合いだった。そうセルゲイは言いたかったが、必要な書類も提示されているし代金も支払われている。だから速やかに引き渡さないといけないのだが、彼女の目的がいまいちよくわからなかった。
「わかりました、殿下」
「殿下はいいわ、わたしはこれから一介の冒険者として任務を果たす旅に行くからソフィアでいいわよ。それよりも早く!」
ソフィアがせかすのは落札したアグラッシュのマスター登録の儀式だ。セリの間は誰の所有でもないという扱いなのでありとあらゆるものが封印されていた。能力、そして知識や記憶だ。その措置の際に前世のわたしの記憶の断片が蘇ったわけだ。
「わかりましたよ、それと詮索は無用だというんでしょ、なんで落札したのかも」
「ええ、そうよ! それと私が落札したことをあちらこちらに言いふらさないでちょうだい。いろいろと面倒だからね。どうしても必要なのよ、そこのモフモフケモノさんが」
ソフィアは譲渡書類に署名をすると、彼女にが抱きついて来た! そしてわたしのモフモフな毛皮に顔をうずめてきた!
「ねえ、これであなたのマスターよ! モフモフちゃん! 嬉しいわ!」
セルゲイは唖然としていたが、思い出したかのようにこういった。
「ソフィアさん、嬉しいのは分かりますが儀式をしてください。それと・・・好きな名前を付けてください! 儀式ができませんから!」
それを聞いてソフィアは少し考えてからこういった。
「そうねえ、このモフモフちゃんの名前ね。妹みたいなものだからね、ナディアがいいわね! 今日からナディアね!」
その時から私はナディアという名前になった。
その日のセリが終わり、セリを主催したデブ氏ことセルゲイ・オルノフはホクホク顔をしていた。手数料込み間違いなく88000ディナール分の金貨がたっぷり入った皮袋の中身を確かめていた。出荷元に引き渡してもなお、16000ディナールも手元に残る! セルゲイはその金で何が出来るだろうかという事を考えていた。すると目の前にいたアグラッシュとその新しい所有者が立っていた。
「ねえ、お金を渡したんだから早くやってもらえない? そこに見せたでしょ、アグラッシュの所有許可と冒険隊組織許可の勅許状、それと・・・」
女騎士姿の第三王女ソフィアはセルゲイに近寄っていた。彼女はその時17歳で、騎士としては半人前で冒険者を組織する素質がある様に見えなかった。宮中の舞踏会でダンスをしている方がお似合いだった。そうセルゲイは言いたかったが、必要な書類も提示されているし代金も支払われている。だから速やかに引き渡さないといけないのだが、彼女の目的がいまいちよくわからなかった。
「わかりました、殿下」
「殿下はいいわ、わたしはこれから一介の冒険者として任務を果たす旅に行くからソフィアでいいわよ。それよりも早く!」
ソフィアがせかすのは落札したアグラッシュのマスター登録の儀式だ。セリの間は誰の所有でもないという扱いなのでありとあらゆるものが封印されていた。能力、そして知識や記憶だ。その措置の際に前世のわたしの記憶の断片が蘇ったわけだ。
「わかりましたよ、それと詮索は無用だというんでしょ、なんで落札したのかも」
「ええ、そうよ! それと私が落札したことをあちらこちらに言いふらさないでちょうだい。いろいろと面倒だからね。どうしても必要なのよ、そこのモフモフケモノさんが」
ソフィアは譲渡書類に署名をすると、彼女にが抱きついて来た! そしてわたしのモフモフな毛皮に顔をうずめてきた!
「ねえ、これであなたのマスターよ! モフモフちゃん! 嬉しいわ!」
セルゲイは唖然としていたが、思い出したかのようにこういった。
「ソフィアさん、嬉しいのは分かりますが儀式をしてください。それと・・・好きな名前を付けてください! 儀式ができませんから!」
それを聞いてソフィアは少し考えてからこういった。
「そうねえ、このモフモフちゃんの名前ね。妹みたいなものだからね、ナディアがいいわね! 今日からナディアね!」
その時から私はナディアという名前になった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
彼女が ガイノイドスーツ に着替えたら
ジャン・幸田
SF
少女の玲和はコンパニオンのアルバイトを依頼されたが、それは機ぐるみの内臓となって最新型汎用ガイノイド ”レイナ”になることであった!
女性型アンドロイドに変身することによって、 彼女は人間を超えた存在になった快楽を体験することになった!
(妄想で考えてみた短編です)
人形娘沙羅・いま遊園地勤務してます!
ジャン・幸田
ファンタジー
派遣社員をしていた沙羅は契約打ち切りに合い失業してしまった。次の仕事までのつなぎのつもりで、友人の紹介でとある派遣会社にいったら、いきなり人形の”中の人”にされたしまった!
遊園地で働く事になったが、中の人なのでまったく自分の思うどおりに出来なくなった沙羅の驚異に満ちた遊園地勤務が始る!
その人形は生身の人間をコントロールして稼動する機能があり文字通り”中の人”として強制的に働かされてしまうことになった。
*小説家になろうで『代わりに着ぐるみバイトに行ったら人形娘の姿に閉じ込められた』として投降している作品のリテイクです。思いつきで書いていたので遊園地のエピソードを丁寧にやっていくつもりです。
人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?
機械娘の機ぐるみを着せないで!
ジャン・幸田
青春
二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!
そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。
AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
異世界ハニィ
ももくり
ファンタジー
ある日突然、異世界へ召喚されてしまった女子高生のモモ。「えっ、魔王退治はしなくていいんですか?!」あうあう言っているうちになぜか国境まで追いやられ、隙あらば迫ってくるイケメンどもをバッサバッサとなぎ倒す日々。なんか思ってたのと違う異世界でのスローライフが、いま始まる。※表紙は花岡かおろさんのイラストをお借りしています。※申し訳ありません、今更ですがジャンルを恋愛からファンタジーに変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる