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(4)門田
崩れ・・・る!
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俺は怒りを込めて抵抗しようとして拳を振り上げた。しかし思わぬことが起きた。俺の身体がひびが入ったようになり血液が吹き始めた!
「やっぱり、まだ克服すべき課題はあるということだな。折角昆虫人間を作り出しても持たなければ勿体ないからな」
纐纈はすました顔をしてそういいはなした。奴からすれば俺もモルモットにすぎないという事だ。俺のからだは急激な変化に耐えられなくなってきたという意味のようだ。
「て、てめえ!」
「まあいいさ。君は知りすぎているからな、どっちにしても始末するつもりだったさ。今の混乱期、高校生の数人が失踪したって騒がないさ。
まあ、何らかの方法で猟奇殺人の被害者の一部にしてもかまわないけど、そのまま消えてしまった、というのも悪くないだろう? そんな醜い姿になって死んだなんてお袋さんは知らなくて良かったな!」
「ま、まさか、お袋は・・・始末したんかよ!」
「大丈夫さ。君は失踪したという事にするさ。あとはたっぷりとお金を上げて・・・君のお母さんは愛国者だろ? お国のために協力したんだからさ」
纐纈の奴のお国のためという言葉は気に入らなかった。纐纈の悪趣味を正当化するのに使われたことを。こんな奴がみんなの人生を無茶苦茶にしているのが許せなかった!
「それ以上言うな! 黙れ!」
俺は渾身の抵抗を手足に込めたが、恐ろしい事になった。俺の肉体が四散し始めた!
「なあ、パク。この実験体も終わりだな。次はこの国の死刑囚でも使いましょう。新鮮な若者の肉体もいいけど、あんまり工作しなくていいですから」
纐纈の横に座っていた男が、この忌々しい生物兵器を持ち込んだ奴のようだ。そのパクが!
「そうですな。私は四代目に仕えてきましたが、この国の方が素晴しい研究環境ですから! なんだってあんな太った小心者の世間知らずのご機嫌を取らずに自分のペースで出来るから。本当に完成させなくてよかったですよ、ハハ!」
纐纈といいパクといい自分の研究のためなら何でもいいという態度は許せなかった。しかし俺の身体はボロボロに崩れてしまい、静香や諸橋の骸の残骸のなかに沈みつつあった。俺は悔しくてたまらなかった。こんな人でなしを目の前にしてなんら罰を与えられない事が!
「そろそろ処分しますか。サンプルだけ取って速やかに焼却しましょう! 火炎放射器の準備をしろ!」
纐纈の言葉を聞いたとき、とうとう静香と同じところに逝くのだと思った。次に生まれてくるときは一緒に幸せになりたいものと意識が遠のいていくのを感じていたが、しかし・・・
その瞬間。俺の身体が溶解しはじめた! 最期を迎えたと思ったのは早計だった!
「ぱ、パク! これはいったいなんなんだあ?」
纐纈のヒステリックな声が俺の耳に聞こえた時。俺の身体はとんでもないことになった!
「やっぱり、まだ克服すべき課題はあるということだな。折角昆虫人間を作り出しても持たなければ勿体ないからな」
纐纈はすました顔をしてそういいはなした。奴からすれば俺もモルモットにすぎないという事だ。俺のからだは急激な変化に耐えられなくなってきたという意味のようだ。
「て、てめえ!」
「まあいいさ。君は知りすぎているからな、どっちにしても始末するつもりだったさ。今の混乱期、高校生の数人が失踪したって騒がないさ。
まあ、何らかの方法で猟奇殺人の被害者の一部にしてもかまわないけど、そのまま消えてしまった、というのも悪くないだろう? そんな醜い姿になって死んだなんてお袋さんは知らなくて良かったな!」
「ま、まさか、お袋は・・・始末したんかよ!」
「大丈夫さ。君は失踪したという事にするさ。あとはたっぷりとお金を上げて・・・君のお母さんは愛国者だろ? お国のために協力したんだからさ」
纐纈の奴のお国のためという言葉は気に入らなかった。纐纈の悪趣味を正当化するのに使われたことを。こんな奴がみんなの人生を無茶苦茶にしているのが許せなかった!
「それ以上言うな! 黙れ!」
俺は渾身の抵抗を手足に込めたが、恐ろしい事になった。俺の肉体が四散し始めた!
「なあ、パク。この実験体も終わりだな。次はこの国の死刑囚でも使いましょう。新鮮な若者の肉体もいいけど、あんまり工作しなくていいですから」
纐纈の横に座っていた男が、この忌々しい生物兵器を持ち込んだ奴のようだ。そのパクが!
「そうですな。私は四代目に仕えてきましたが、この国の方が素晴しい研究環境ですから! なんだってあんな太った小心者の世間知らずのご機嫌を取らずに自分のペースで出来るから。本当に完成させなくてよかったですよ、ハハ!」
纐纈といいパクといい自分の研究のためなら何でもいいという態度は許せなかった。しかし俺の身体はボロボロに崩れてしまい、静香や諸橋の骸の残骸のなかに沈みつつあった。俺は悔しくてたまらなかった。こんな人でなしを目の前にしてなんら罰を与えられない事が!
「そろそろ処分しますか。サンプルだけ取って速やかに焼却しましょう! 火炎放射器の準備をしろ!」
纐纈の言葉を聞いたとき、とうとう静香と同じところに逝くのだと思った。次に生まれてくるときは一緒に幸せになりたいものと意識が遠のいていくのを感じていたが、しかし・・・
その瞬間。俺の身体が溶解しはじめた! 最期を迎えたと思ったのは早計だった!
「ぱ、パク! これはいったいなんなんだあ?」
纐纈のヒステリックな声が俺の耳に聞こえた時。俺の身体はとんでもないことになった!
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