17 / 43
(3)捕囚
砕け散る・・・
しおりを挟む
諸橋が生まれ変わって誕生したバッタ人間は無残な姿になりつつあった。ばったの緑の外骨格は裂け、その下の筋肉組織をさらけだしていたからだ。しかも大量の出血、素人目にも大変な状態になりつつあった。
諸橋はウマがよく合っていたので、いつもつるんでいた。俺が静香を探しに行った時も一緒についてきていた。しかし、途中から奴だけが戻っていったが、てっきり家に帰ったのだとばかり思っていた。俺はカマキリ女になった静香と逢瀬を重ねていた時には・・・
その諸橋も半島の優軍政策が生み出した狂気の生物兵器に改造されていたのだ! しかも、どういう経緯なのかは知らないが、纐纈を名乗る男がトップで、自衛隊に属するという機関に飼われていた! それも最悪な形で終わろうとしていた。
「静香! やめろそいつはクラスメイトの諸橋だぞ! これ以上人を殺すな!」
それを言ったときはっとした。静香はロクでもない奴らとはいえ人を殺したのだと。しかも残忍な方法で。
静香の巨大な鎌は諸橋の外骨格を容赦なく切り刻んでいった。諸橋の外骨格が裂けるたびに夥しい量の体液が噴き出したが、中には人間らしい骨は残っていなかった。完全に昆虫のようになっていた。
その時、幼い日の事を思い出していた。なぜそうしたのかは忘れてしまったが、諸橋の奴が捕まえてきたバッタを関節ごとに引きちぎるという残虐な事をしたのを! たしか生体解剖なんて恐ろしいことをいっていた。
バッタは諸橋の手によってまるで甲冑のようにはがされていったが、腹部をつぶしたとき、ハラワタがブチュという音とともに肛門から出たときに俺は逃げ出していた。でも、そんなことはさっきまで忘れていた。しかし、いま起きていることは、その時を上回る惨劇だった。
諸橋の身体を糧に誕生したバッタ人間であるが、静香の強力な鎌による攻撃によって切り刻まれ、ボロボロの布のようになってもなお攻撃しようとしていた。それは本能の赴くまま逃げることも引く事も許されない生物兵器の実験体に与えられた最期の任務だった。
俺は諸橋が言っていたことを思い出していた。老朽した軍艦の最期の任務に標的艦となって沈む場合があるという話だ。
それによれば、標的艦とされた軍艦は新型兵器の威力を試すために攻撃され、最期は海に沈んで姿を消すという事だった。
だが、バッタ人間の最期は悲惨だった。その場で身体を切り刻まれ形を失っていったからだ。立つことが出来なくなり命乞いをするかのようなポーズをしたバッタ男は、カマキリ女の執拗な攻撃を受けミンチのようになっていった。
惨劇が終わったときにその場には、手のひらのサイズぐらいにまで粉々になった外骨格と体液と肉がミンチになった物体だけが残された・・・
諸橋はウマがよく合っていたので、いつもつるんでいた。俺が静香を探しに行った時も一緒についてきていた。しかし、途中から奴だけが戻っていったが、てっきり家に帰ったのだとばかり思っていた。俺はカマキリ女になった静香と逢瀬を重ねていた時には・・・
その諸橋も半島の優軍政策が生み出した狂気の生物兵器に改造されていたのだ! しかも、どういう経緯なのかは知らないが、纐纈を名乗る男がトップで、自衛隊に属するという機関に飼われていた! それも最悪な形で終わろうとしていた。
「静香! やめろそいつはクラスメイトの諸橋だぞ! これ以上人を殺すな!」
それを言ったときはっとした。静香はロクでもない奴らとはいえ人を殺したのだと。しかも残忍な方法で。
静香の巨大な鎌は諸橋の外骨格を容赦なく切り刻んでいった。諸橋の外骨格が裂けるたびに夥しい量の体液が噴き出したが、中には人間らしい骨は残っていなかった。完全に昆虫のようになっていた。
その時、幼い日の事を思い出していた。なぜそうしたのかは忘れてしまったが、諸橋の奴が捕まえてきたバッタを関節ごとに引きちぎるという残虐な事をしたのを! たしか生体解剖なんて恐ろしいことをいっていた。
バッタは諸橋の手によってまるで甲冑のようにはがされていったが、腹部をつぶしたとき、ハラワタがブチュという音とともに肛門から出たときに俺は逃げ出していた。でも、そんなことはさっきまで忘れていた。しかし、いま起きていることは、その時を上回る惨劇だった。
諸橋の身体を糧に誕生したバッタ人間であるが、静香の強力な鎌による攻撃によって切り刻まれ、ボロボロの布のようになってもなお攻撃しようとしていた。それは本能の赴くまま逃げることも引く事も許されない生物兵器の実験体に与えられた最期の任務だった。
俺は諸橋が言っていたことを思い出していた。老朽した軍艦の最期の任務に標的艦となって沈む場合があるという話だ。
それによれば、標的艦とされた軍艦は新型兵器の威力を試すために攻撃され、最期は海に沈んで姿を消すという事だった。
だが、バッタ人間の最期は悲惨だった。その場で身体を切り刻まれ形を失っていったからだ。立つことが出来なくなり命乞いをするかのようなポーズをしたバッタ男は、カマキリ女の執拗な攻撃を受けミンチのようになっていった。
惨劇が終わったときにその場には、手のひらのサイズぐらいにまで粉々になった外骨格と体液と肉がミンチになった物体だけが残された・・・
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
転校先は着ぐるみ美少女学級? 楽しい全寮制高校生活ダイアリー
ジャン・幸田
キャラ文芸
いじめられ引きこもりになっていた高校生・安野徹治。誰かよくわからない教育カウンセラーの勧めで全寮制の高校に転校した。しかし、そこの生徒はみんなコスプレをしていた?
徹治は卒業まで一般生徒でいられるのか? それにしてもなんで普通のかっこうしないのだろう、みんな!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人形娘沙羅・いま遊園地勤務してます!
ジャン・幸田
ファンタジー
派遣社員をしていた沙羅は契約打ち切りに合い失業してしまった。次の仕事までのつなぎのつもりで、友人の紹介でとある派遣会社にいったら、いきなり人形の”中の人”にされたしまった!
遊園地で働く事になったが、中の人なのでまったく自分の思うどおりに出来なくなった沙羅の驚異に満ちた遊園地勤務が始る!
その人形は生身の人間をコントロールして稼動する機能があり文字通り”中の人”として強制的に働かされてしまうことになった。
*小説家になろうで『代わりに着ぐるみバイトに行ったら人形娘の姿に閉じ込められた』として投降している作品のリテイクです。思いつきで書いていたので遊園地のエピソードを丁寧にやっていくつもりです。
代償
とろろ
ホラー
山下一郎は、どこにでもいる平凡な工員だった。
彼の唯一の趣味は、古い骨董品店の中を見て回ること。
ある日、彼は謎の本をその店で手に入れる。
それは、望むものなら何でも手に入れることができる本だった。
その本が、導く先にあるものとは...!
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。

【SF短編集】機械娘たちの憂鬱
ジャン・幸田
SF
何らかの事情で人間の姿を捨て、ロボットのようにされた女の子の運命を描く作品集。
過去の作品のアーカイブになりますが、新作も追加していきます。
どちらかといえば、長編を構想していて最初の部分を掲載しています。もし評判がよかったり要望があれば、続編ないしリブート作品を書きたいなあ、と思います。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる