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(4)ロボ娘水泳授業

78.ロボ娘の朝食は物足りない

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 朝ごはんを食べる、それは当たり前のことであった。しかし、今の恵理にとって苦痛に感じる点があった。今の姿にされてからというもの人間の食事というものが摂れなくなったからである。それほどグルメでも食通でもなかったとはいえ、食事の楽しみっていうものが奪われ、ものすごく残念であり悔しくもあった。事前にそのような事を説明してくれていたら絶対にロボットになるのを拒絶したはずなのに! 

 母に用意してもらったものはガイノイドスーツを着せられた女性用の、そんな流動食のセットであった 。必要な栄養素とカロリーが添加されたもので、フェイスガードの供給口から口蓋に流し込まれるようになっていた。その時、多少の味覚は感じるけど噛むという行為は殆どすることはなかった。

 その流動食には生身の恵理の分だけでなく、外骨格と全身を覆う人工筋肉などに必要なものも含まれていた、恵理の生体組織は人工筋肉へのエネルギー供給システムというわけだ。そんな事を思うと、いつまでこんな身体なのかと考えただけで、恵理は朝だというのに憂鬱であった。

 「あのね恵理」

 「なあに、ママ?」

 「あなたって、まだ制服着ていないじゃないのよ! はしたない!」

 起きてきた時のまま、ロボットの姿のままだった。組織の規則で学校に登校するときは制服を着用しなければならなかった。

 「仕方ないんじゃないのよ! これからのママに今日のためにオプションパーツ付けてもらうんだからね! つけてもらってから制服を着るのよ! そうしないと溺れちゃうわよ!」

 今日は水泳の時間があり、恵理の外骨格にオプションパーツとして水中でも呼吸ができるようにしなければならなかった。そのオプションは背中に取り付けるもので、自分ではできないものであった。
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