ロボ娘（機ぐるみ）にされたおんなのこ！

（5）ロボ娘の教習

91.里中美咲のイライラ

　ロボ娘恵理が登校するようになり、里中の恵理に対する憎悪はエスカレートしていた。明らかに恵理を妨害していた。それに対し綾先生が下した判断に僕ら二人は戦慄した。そう判断したのは僕に里中が言ったひと事だった。

　「ねえ、鈴木君。金城さんの事だけどあなた何処に入院しているのか知らない？　先生に訊いても教えてくれないから。近所なんでしょ？」

　彼女がそんなことを言ったのは、恐らくロボ娘を操縦していると思われる入院中の恵理に言うつもりだったかもしれない。ロボットを登校させるなと。彼女にとってロボットと同じクラスにいるのが耐えられなかったのかもしれない。

　「近所でも知らないよ！　友達でも彼女でもないのに」

　そう答えると里中がスマホで撮った画像を見せてきた。

　「あれ？　いつも彼女の前か後ろを登下校しているのと違うの？　ねえ」

　確かにそうであった。僕たちは綾先生の指示によってそうしないといけなかったから。恵理の視線だけでなくもう一人の視線が必要だったからだ。一般の市民がロボットが日常にいる事に対して受けるストレスの観察にだ。

　「それはないよ、偶然の一致なだけさ。ほら朝やっている連続ドラマが終わってから学校に行っているんだけど、彼女も一緒じゃないんかな？」

　そういうと諦める里中ではなかった。

　「そんなことを言うわけなの？　それじゃ言わせてもらうわ。あんた金城さんの両親に頼まれているんでしょ。ロボットを見てくれと！　お金いくらもらっているんかしら？　白状をしなさいよ！」

　僕の目の前には太い里中の腕があった。