婚約破棄された令嬢は怪物のような戦士に生まれ変わる

６許容

　クリスはこのまま死ぬのを待つしかないと理解した。魔族によって拷問を受け今は屍に魂が縛られた状態なのだと。打ち捨てられたときに、死んでいる状態だったと。このまま朽ち果ててしまうのなら、一矢報いたかった。

　「わかったわ、人を捨てるわ！　あなたの提案する方法で、どうにかして！」

　「わかりました！」

　もうクリスには声しか聞こえなかった。暗闇と激痛が支配するこの地獄から逃れ、あいつらを打ち倒すのはこれしかないと。しばらくすると、激痛の代わりに灼熱の何かに入れられる感覚に全身が包まれた。それは、苦痛の中でもなにか安らぎを感じていた・・・

　それから時間がどれくらい経過したのだろうか？　クリスは目覚めた時自分の身体に力がみなぎっているのを感じた。掌で自分の身体を触ると、なにかザラザラしていた。全身を鱗で覆われてるみたいだった。

　「お目覚めですか？　お嬢様？」

　目の前にいたのは小人のように背が低い者たちだった。たしか隣国にいる妖精族であるロウ人のようだった。彼らは魔法や妖術に長けていると聞いていたが、実際に見るのは初めてだった。

　「はい、気持ちいいぐらい力がみなぎっているわ。でも、これって私は人外になったというわけなの？」
　
　瞼を開けたクリスが見た自分の腕は真っ青な鱗に覆われていた！