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5 激痛

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 クリスが次に意識を戻したのは激痛の中だった。死んだら安らかな気分になれると聞いていたのに、死ぬというのはこんなにも苦しいモノなのかしらと思ったが、どうもまだ生きている様だった。

 目を開けようとしたが、恐ろしい事に気付いた、目が見えなくなっていた! 顔面の損傷が激しく眼球も潰れているかのような激痛に襲われていた。しかし、その激痛は全身至る所から発していた。そのとき、耳元で声がした。

 「クリスお嬢様、申し訳ございません。何もかも手遅れになってしまいました」

 その声は絶望に支配されたかのような苦痛な声色だった。

 「ど、どういういみ・・・なのよ? なにがどうなったというの・・・ですか?」

 「御父上の依頼で隣国ヴォルティスからやってきた者ですが・・・間に合いませんでした。御父上はお亡くなりになりました。それと、この国は闇に支配されました完全に」

 その声が発している言葉は信じたくなかった。しかし、拷問した異形の者たちを見た後では信憑性があった。それにしても、父さんが死んだ?

 「こ、これからどうなるのですか?」

 「とりあえず、ここは半日は大丈夫です。しかし、あなたは屍に近い状態です。肉片に近いです。実は魔族に殺されたら。しばらくは元の肉体で魂が縛られる・・・アンデッド状態になるのです。腐敗して身体が崩れ落ちるまで動けるのですが。あなたの場合は元々完全に殺す気でバラバラにして川に捨てられたのです。いまの、あなたの身体の状態は観なくてよかったです」

 その声、敵なのか味方なのかわからなかったが、恐ろしい情報ばかり耳に入れる。どうも、私の身体は五体満足ではないようだ。

 「そうですか・・・わたしはどうなるの、死ぬの?」

 クリスは死が免れないのならこのまま死にたかった。身体の感覚が胸から下は全くなかったし、ものすごく寒かった。いまの自分は屍、意識がある屍としか考えられなかった・

 「そのまま亡くなっても構いませんが、御父上様の仇、いやこの国を光の世界に戻す気がございましたら、協力します。その場合、闇の連中のように人を捨てなければなりませんが」

 「ひとを・・・捨てる?」

 クリスはなにか恐ろしい事になる恐怖に支配されていたが、何かの光を感じていた。
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