四番センター「やまもとこうじ」君

ジャン・幸田

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新入部員は野球素人!

野球に興味はない(3)

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 多賀はなんとしても晃司を野球部に入れたかった。「やまもとこうじ」が四番にいるというチームにするために。ちなみに姫谷高校野球部は創設40年であったが、練習試合で勝った事は滅多になく、公式戦で勝ったのは30年ぐらい前にあったということで、通算百連敗中であった。そんな野球部唯一? のお楽しみはあのカープの元四番の山本浩二と漢字が違っても良いから同姓同名の選手が出場する事だった。

 野球に興味はない、という晃司の友人が持ってきたのはとあるバンドのベスト盤CDとカセットテープだった。でも、なぜ両方返そうとしているのだろうか? 多賀は不自然だと思った。そこで持ってきた晃司の同級生で友人らしい生徒にも勧誘してみることにした。

 「君、新入生かい? よかったら一度野球部の練習の見学に来てみないかい? ところで、なんでCDとカセットを返すの? カセットにも同じタイトルが入っているけど?」

 その質問は多賀の個人的な興味からしたものだ。カセットにはインスタントレタリングを使って丁寧にアルファベットでアーティスト名とアルバム名を刻んでいたけど、同じだったからだ。

 「見学? ちょっとだけなら良いですよ。それとこれですか? 晃司は変わった奴でしてCDを沢山持っているのにプレイヤーを持っていないのですよ。だから家で聞くためにこうやってダビングを頼んでくるわけです」

 その返答に多賀はある考えが浮かんだ!
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