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新入部員は野球素人!

弱小野球部(2)

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 その前に姫谷高校野球部の新学年になったときのメンバーは悲惨であった。主将は三年の山本広治でキャッチャーであったが、足のケガで最後の夏は絶望的であった。他の6人であるがうち3人が別の部活の掛け持ちであった。

 ピッチャーの山本誠は二年生であったが「左利き」というだけで入部させられたため、マウンドからホームに投げるのがやっという能力しかなった。ファーストの村上圭司は三年生で陸上部兼任で背が高いだけ、サードの藤田豊も三年生であったが鈍足、ライトの木村要は二年生で美術部でメガネをかけていて飛球が見えないといつもいっているし、レフトの山本進次は肩が弱く、そして多賀勇気は帰宅部で「スコアラー」。とにかくチームはポンコツだった。

 多賀をどこかに入れてもキャッチャー・セカンド・センターいう「センターライン」とショートのレギュラーが不在であるから、少なくとも3人を入部させる必要があった。多賀は「戦力」にならないので出来れば4人であったが。だから人数合わせというわけだ、サッカーのように人数が欠けても試合が出来るわけではないので、試合に出るには9人は必要だった。だから新一年生は待ち遠しかった。

 でも、野球部に魅力があるかといえば、ないとしかいえなかった。新入生からすれば野球に自信があるのなら田舎の超弱小チームに入るはずないし、湯汲は好きでも入部すれば「坊主頭」にならないといけないのを敬遠しがちだった!
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