上 下
30 / 53
第二章・エリザベートと甲冑蟲

27.騎士の甲冑を纏うには(2)

しおりを挟む
 エリザベートは身体能力が高く、陸上選手としてそれなりに期待されていたのに中学校三年になってから突然剣道を始めた。近所で剣道教室があって、そこで経験者の悠亮と初心者のアオイと出会った。彼女が剣道を始めた理由はたまたま剣道の練習を見ていて見せられたからだ。戦うのに防具を着用するのがカッコいいとおもったからだ。あんな甲冑のようなモノを纏って戦う姿に魅せられたのだ。

 そんなエリザベートの前に甲冑を纏った騎士が現れたのだから堪らなかった。しかもカッコいい! その騎士になれるのならもう何も怖くなかった。もっとも、彼女も気がかりなことがあった。異世界の転移してきたということは、もう二度と戻れないのだろうと。死んだので転生したわけではないにしても、元の世界では死んだことにされているのだろう。でも今は騎士になりたかった!

 「シャーミさん。その甲冑生きているとの事ですがどうやって作ったのですか?」

 「作る? その表現は違うわよ。甲冑はねえマスターを選ぶのよ! この甲冑は甲冑蟲といって遥か昔に作られた一種の生体なのよ。その生体はずっと眠っているんだけど、マスターに相応しい人間が現れると覚醒してくれるのよ。そしてマスターが死ぬか引退するまでずっと傍らにいるのよ、こんな風にね」

 そういってミーシャが執務用のテーブルの下に隠れていた巨大なダンゴムシのようなモノをテーブルの上に載せた。それはなんとなく見たような気がした。

 「それが甲冑蟲ですか?」

 「ええ、そうよ。この甲冑蟲は私がさっきまで身にまとっていた甲冑なのよ。着用していない時にはこうして私の傍に離れずについているのよ。取りあえずは、エリザベートあなたの甲冑蟲を選ばないといけないわね。ちょっと待っていてね」

 そうやって呼び鈴を鳴らすと外からさっきシャーミに同行していた騎士の片割れが入ってきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

拉致されて生体装甲を纏わされた少女!

ジャン・幸田
ファンタジー
 下校していたはずなのに・・・  よくわからない人に拉致されて、あれよあれよのうちに改造されたのよ!  生体装甲に覆われた少女の戦いが始まる!

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...