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第一章・異世界にやって来た高校生

11.砂丘の騎士・4

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  「どうしようか、これ?」

 悠亮は対処に困っていた。どうも水と食料のようだったけど、眠り薬か毒でも入っているのかもしれなかった。前者なら捕まるし後者なら命を失ってしまう。でも、このままみても命がないのは間違いなかった。

 「そんなの決まっているじゃないの悠亮君! ほら、昔から言うでしょ、飯を食わねば戦は出来ぬって!」

 そういってアオイは皮袋の中のザクロのようなモノを喰らい水のようなモノを飲んでしまった。それには悠亮もエリザベートもドンビキだった!

 「アオイ!大丈夫なの? どうなのよ? 答えてちょうだい!」

 エリザベートが尋ねたが、アオイが何かをしゃべっていたようだが、何を言っているのか分からなかった。どうも外にいる騎士がしゃべっているような感じだった。

 「まさか、これは?」

 悠亮も同じように食べてみた。すると、アオイがしゃべっている事も外の騎士がしゃべっている事もわかった。それは”知恵の実”というもので、言葉が通じない地域に行ったときに食べる事でその土地の言葉が分かるという木の実だった。

 「早く、エリザベートも食べなよ!」

 アオイも悠亮もいったが、今度はエリザベートが何をいっているのか分からないとパニックになっているようだ。だから仕方なくエリザベートの口に”知恵の実”を無理矢理突っ込んだ。すると三人とも外の騎士が何を言っているのか分かるようになった。

 「君たち、時空震でこの世界にやって来たんだよね? 悪い様にしないから話を聞いてもらえない? 聞いてからも遅くないでしょ!」

 その声は可愛らしい声だった。やはり華奢な体形の騎士は女性だった!
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