「R18」わたしにゼンタイを着せないで!

ジャン・幸田

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壱・都市伝説?(1)

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 優紀にそんな快盗ゼットの話をしたのは近所の手芸用品店「手芸のお店・オリーブ」の女主人の藤枝のおばさんだった。でも彼女からゼンタイの話が出るのは意外だった。優紀がこの店にやってくるのは趣味の刺繍につかう材料などを買うためであったが、いつもはそんな世間話はしないから。

 「いるのよ! でも、全国のニュースにはならないけどね。こんな田舎町でゼンタイを広げようと活動しているそうよ!」

 藤枝の話し方に熱量を優紀は感じていたが、いつもは清楚なおばさんなのに感情が籠っているのよと思った。

 「そうなんですか? そういえばSNSで噂になっていましたよ。そこの国道でゼンタイ姿で歩く男がいたなんてね」

 優紀はそういってスマホの画面を見せた。そこには太目な男が赤地に黒いドットが入ったゼンタイ姿でいる姿だった。

 「その男の人見たことあるわよ。なんか警察から職務質問されていてね。目立っていたからね」

 二人でそのSNS上の男の画像に対するコメントを見ると、どちらかといえば否定的なモノが多かった。頭かおかしいんじゃないかと、露出狂じゃないかと。たしかに、普通のコスプレよりも体形が露わになっているので、そんな風にいわれてもしかたないのかもしれなかった。でも、後者の方は全身を布に覆われていて露出していないから、当たらないかもしれないといえたが。

 「ほら、そんなゼンタイを人に広めるなんて出来ないじゃないんかと思うのよね。そんな画像をみると私の方が恥ずかしくなるから」

 優紀はそのとき、ゼンタイに対して否定的な感情を抱いていた。
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