56 / 57
7.彰と嘉奈と
ハロウィンの晩は一緒に
しおりを挟む
そんなゼンタイフェチな私と彰の間にはその後も色々と紆余曲折があったの。途中、破局寸前な事もあったけど、それだけで長い長い話になるし、単なるオノノケ話なのかもしれないのでもし別の機会に語ることがあればしたいと思う。結論から言えば、彰と私は本当に結ばれたの!
ただ、彼は全国各地に転勤するようになったので、私もついていく事になったの。だからゼンタイのフェチを辞めたわけではなかったの! 行く先々でゼンタイフェチの輪を地方に広めてしまったの! それって良い事なんかどうかはわからないけど。
もっとも、地方によっては頭の固い人がいるし、本当の変態扱いされたこともあったわ。でも、彰も私もゼンタイフェチの布教活動みたいなことを辞めなかった。だから『ゼンタイなんて下着の仲間みたいなものだから外を歩くだなんてまかりならない!』なんてネットで騒がれたこともあったの。
そんなこんなで月日が流れ、ある地方都市に住んでいたある年のハロウィンの晩は私たち一家にとって忘れられない事をした。
「ママ、これってやっぱり恥ずかしいわよ! 同級生に見られたくないわ!」
「大丈夫よ、被ってしまったら誰か分からないわよ! パパもママもそして栞奈も晴奈も一緒なんだから」
その日は彰が副市長として出向していたとある町のハロウィン仮装パレードに参加しようとしていた。フルオーダーゼンタイの地元メーカーの製品を宣伝するためということで、一家でゼンタイを着る事になったけど、もちろんそれは彰がそのメーカーに提案したからだ。だから言い出しっぺがやることになったという事だったけど、私たち夫婦は小学生の娘たちにゼンタイを着せる口実にしたかったからだ。
「でも、このゼンタイって・・・」
「それは外ではいってはいけないのよ! いう事を聞きなさい!」
上の娘の栞奈は薄々ゼンタイが両親にとって特別な意味があるという事に気づき始めているようだったが、それを言う年齢でもないので秘密にしていた。でも思春期の女の子がそれを知ったら親は不潔だと思うかもしれないと心配だった。だからこそ、娘たちにゼンタイを着せたのだ。
「お前たちのゼンタイ姿結構いいぞ! まるで鮮やかな仕事人の戦闘員みたいだ」
彰は着替えてきたのは、町の様々な名所をデザインしたゼンタイだった。これはメーカーの技術力を宣伝するためのもので、私や娘たちのゼンタイも優雅な絵柄が付いていた。だから結構派手だった。
「パパ、格好いいけどまるで派手なコイノボリみたいよ、ママもね」
下の晴奈は意味も分からないまま変な衣装を着せられて戸惑っているようだった。なので私は・・・思わず触ってしまった!
「ママ、なんか気持ちいいねスベスベして! ママに触ってもらうの気持ちいいわよ、じゃあパパにも」
そういって晴奈はスキンシップをしはじめたが、それを見ていた栞奈は複雑な表情をしていた。どうもゼンタイフェチっていう意味が分かっていたようだった。
「さあ、パレードが始まるわよ! 顔が出たままだったら同級生にばれるっていっていたでしょ!」
そういって栞奈の頭にマスクを被せ、ファスナーをあげた。そして家族四人はゼンタイ家族となって集合場所へと向かった。その場所には本当に様々な衣装をまとった人々であふれかえっていたので、むしろゼンタイは大人し目なものに見えた。すると向こうから甲冑を着た老人が歩いてきた。その人はこの町の市長だった!
「明村君、これが君が言っていたものかね? なんか・・・良いぞ! 今度はこれでなんかのイベントをしたいと思うぞ!」
そんなお褒めの言葉を貰ったけど、ゼンタイで町おこしというのは想像するだけで楽しいというか頭が痛いというか、何とも言えない想像にかられた。でも、一つだけ確かな事があった。いまいる家族はゼンタイがあったから生まれたんだという事だ! それをみんなで着れるのは幸せなんだと!
ー了ー
ただ、彼は全国各地に転勤するようになったので、私もついていく事になったの。だからゼンタイのフェチを辞めたわけではなかったの! 行く先々でゼンタイフェチの輪を地方に広めてしまったの! それって良い事なんかどうかはわからないけど。
もっとも、地方によっては頭の固い人がいるし、本当の変態扱いされたこともあったわ。でも、彰も私もゼンタイフェチの布教活動みたいなことを辞めなかった。だから『ゼンタイなんて下着の仲間みたいなものだから外を歩くだなんてまかりならない!』なんてネットで騒がれたこともあったの。
そんなこんなで月日が流れ、ある地方都市に住んでいたある年のハロウィンの晩は私たち一家にとって忘れられない事をした。
「ママ、これってやっぱり恥ずかしいわよ! 同級生に見られたくないわ!」
「大丈夫よ、被ってしまったら誰か分からないわよ! パパもママもそして栞奈も晴奈も一緒なんだから」
その日は彰が副市長として出向していたとある町のハロウィン仮装パレードに参加しようとしていた。フルオーダーゼンタイの地元メーカーの製品を宣伝するためということで、一家でゼンタイを着る事になったけど、もちろんそれは彰がそのメーカーに提案したからだ。だから言い出しっぺがやることになったという事だったけど、私たち夫婦は小学生の娘たちにゼンタイを着せる口実にしたかったからだ。
「でも、このゼンタイって・・・」
「それは外ではいってはいけないのよ! いう事を聞きなさい!」
上の娘の栞奈は薄々ゼンタイが両親にとって特別な意味があるという事に気づき始めているようだったが、それを言う年齢でもないので秘密にしていた。でも思春期の女の子がそれを知ったら親は不潔だと思うかもしれないと心配だった。だからこそ、娘たちにゼンタイを着せたのだ。
「お前たちのゼンタイ姿結構いいぞ! まるで鮮やかな仕事人の戦闘員みたいだ」
彰は着替えてきたのは、町の様々な名所をデザインしたゼンタイだった。これはメーカーの技術力を宣伝するためのもので、私や娘たちのゼンタイも優雅な絵柄が付いていた。だから結構派手だった。
「パパ、格好いいけどまるで派手なコイノボリみたいよ、ママもね」
下の晴奈は意味も分からないまま変な衣装を着せられて戸惑っているようだった。なので私は・・・思わず触ってしまった!
「ママ、なんか気持ちいいねスベスベして! ママに触ってもらうの気持ちいいわよ、じゃあパパにも」
そういって晴奈はスキンシップをしはじめたが、それを見ていた栞奈は複雑な表情をしていた。どうもゼンタイフェチっていう意味が分かっていたようだった。
「さあ、パレードが始まるわよ! 顔が出たままだったら同級生にばれるっていっていたでしょ!」
そういって栞奈の頭にマスクを被せ、ファスナーをあげた。そして家族四人はゼンタイ家族となって集合場所へと向かった。その場所には本当に様々な衣装をまとった人々であふれかえっていたので、むしろゼンタイは大人し目なものに見えた。すると向こうから甲冑を着た老人が歩いてきた。その人はこの町の市長だった!
「明村君、これが君が言っていたものかね? なんか・・・良いぞ! 今度はこれでなんかのイベントをしたいと思うぞ!」
そんなお褒めの言葉を貰ったけど、ゼンタイで町おこしというのは想像するだけで楽しいというか頭が痛いというか、何とも言えない想像にかられた。でも、一つだけ確かな事があった。いまいる家族はゼンタイがあったから生まれたんだという事だ! それをみんなで着れるのは幸せなんだと!
ー了ー
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
ゼンタイリスト! 全身タイツなひとびと
ジャン・幸田
ライト文芸
ある日、繁華街に影人間に遭遇した!
それに興味を持った好奇心旺盛な大学生・誠弥が出会ったのはゼンタイ好きの連中だった。
それを興味本位と学術的な興味で追っかけた彼は驚異の世界に遭遇する!
なんとかして彼ら彼女らの心情を理解しようとして、振り回される事になった誠弥は文章を纏められることができるのだろうか?
転校先は着ぐるみ美少女学級? 楽しい全寮制高校生活ダイアリー
ジャン・幸田
キャラ文芸
いじめられ引きこもりになっていた高校生・安野徹治。誰かよくわからない教育カウンセラーの勧めで全寮制の高校に転校した。しかし、そこの生徒はみんなコスプレをしていた?
徹治は卒業まで一般生徒でいられるのか? それにしてもなんで普通のかっこうしないのだろう、みんな!
AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。
ゼンタイフェチ女ですが受け入れてくれといいませんけど
ジャン・幸田
キャラ文芸
私はミチル。どこにでもいるような女の子だけど、家族に絶対言えない秘密があるの。ゼンタイフェチなのよ! 毎晩、家族が寝静まった後はゼンタイに着替えてお楽しみしているのフェチに目覚めたのよ。しかもフェチ友達がいっぱいいるのよ。変態? そんなことお構いなしよ! 今日も楽しんじゃうわ、ゼンタイでいろんなことを!
*いわゆるゼンタイ(全身タイツ)好きな主人公とその仲間との物語です。そのようなものが嗜好に合わない方は閲覧をお控えください。なお、特定のモデルはいない空想の物語ですので、どこかの誰かに似ていても気のせいです。


人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?
恥ずかしい 変身ヒロインになりました、なぜならゼンタイを着ただけのようにしか見えないから!
ジャン・幸田
ファンタジー
ヒーローは、 憧れ かもしれない しかし実際になったのは恥ずかしい格好であった!
もしかすると 悪役にしか見えない?
私、越智美佳はゼットダンのメンバーに適性があるという理由で選ばれてしまった。でも、恰好といえばゼンタイ(全身タイツ)を着ているだけにしかみえないわ! 友人の長谷部恵に言わせると「ボディラインが露わだしいやらしいわ! それにゼンタイってボディスーツだけど下着よね。法律違反ではないの?」
そんなこと言われるから誰にも言えないわ! でも、街にいれば出動要請があれば変身しなくてはならないわ! 恥ずかしい!
引きこもりアラフォーはポツンと一軒家でイモつくりをはじめます
ジャン・幸田
キャラ文芸
アラフォー世代で引きこもりの村瀬は住まいを奪われホームレスになるところを救われた! それは山奥のポツンと一軒家で生活するという依頼だった。条件はヘンテコなイモの栽培!
そのイモ自体はなんの変哲もないものだったが、なぜか村瀬の一軒家には物の怪たちが集まるようになった! 一体全体なんなんだ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる