やっと出来た彼氏がゼンタイフェチだったので私もゼンタイフェチになることにした。

ジャン・幸田

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6.金色夜会

ふたりで圧縮されて

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 バキュームベットについて簡単に説明してくれた。なんと布団圧縮袋を改造したものだという事だった。本当は圧縮袋はゴムのように強い素材を使ったりするものがあるということだけど、それでは手軽に持ち運び出来ないので簡易版として作ったそうだ。

 私と一緒にはいるのはもちろんアチャさんだった! 彼はもうスタンバイしていたけど、一緒に男の人と入るなんて普段の私なら絶対出来そうもなかったけど、半分寝ぼけていたのか引き受けてしまった。

 アチャさんと抱き合った姿勢で入った私は何となく相手の鼓動と呼吸音が伝わってきた。そのシグナルは目の前の唐草模様の人の形をした何かの内臓が確かに人間であるのを証明していた。

 圧縮用のポンプ、実は掃除機を改造したものによって圧縮袋のなかの空気が抜かれ始めた。空気が抜けていくたびに身体に圧縮袋が張り付いてゆき、ついに空気が抜けてしまった!

 ポンプが止められると残った僅かな空気を二人で吸っていたので、私は少しずつ苦しくなっていったけど、その分アチャさんの身体から伝わる何かに私の心の中で何かが訴えているようだった。このままずっといたいというような。

 だんだん苦しくなってきたのを察知したのか、圧縮袋が解放され私たちは外に飛び出した。ほんの数分の出来事だったけど、こんなふうに二人同じ狭い空間にいられて嬉しかった気がした。

 それから、その圧縮袋はいろんな人たちが試していったので、いろんな人が圧縮されていった。その中には私たちのように様々なコスプレをしたカップルも何組かがいて、その人たちを圧縮する手伝いをしたり見学したりしていた。

 そんなこんなをしていたら、次第に人が少なくなっていくのに気付いた。ステージの出し物のプログラムが終わりに近づいて、帰宅し始めたのだ。どうやら始発電車が動き始めたのに合わせてのようだった。そう夜明けが近づいていたのだ。

 さすがにこの時間になるとイビキをかいて眠っている人もいたけど、着ぐるみ美少女の姿のまま眠っている人もいた。この魔法をかけられた世界ももうすぐ終わろうとしていた。
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