やっと出来た彼氏がゼンタイフェチだったので私もゼンタイフェチになることにした。

ジャン・幸田

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6.金色夜会

終電車

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 私は彰とミチル、そして「我楽多」にいた人たちの一部と終電車にのっていた。普段の週末こんな時間に電車に乗ることはありえないことだった。しかも今夜は帰宅のためでなく別の場所に行くためだった。それは月一で土曜日にオールナイトで開催される「金色夜会」にいくためだ。

 最初、オールナイト? と聞いて私はなんかの間違いかと思った。昭和時代にあったというディスコやオールナイトのキャバレーのような場所でのイベントと聞いたからだ。聞けばショーを見ながら仮装パーティーするようなものだという。でも、なんでオールナイトなの?

 それはともかく、終電車の乗客というものはお酒が入って浮かれていたり沈んでいたりしているものもいるし、仕事か旅行からかは分からないけど大きな荷物を持って疲れた表情を浮かべている人もいて、まさに社会のちょっとした縮図のようだった。

 「ミチル、あなたさっきとは違うわね」

 そうミチルは和風柄のゼンタイを着たチャイちゃんとは違い、落ち着いた女性になっていた。それにしても彼女一応大学生なのに大丈夫なんだろうか?

 「そうねえ、本当は帰ろうと思ったけどついていく事にしたわ。あなたに紹介したい人もいるしね」

 「紹介したい人?」

 「それはお楽しみよ! まあ、いろんな人がいるという事を知ることになるからね。ところでアチャさんは明日大丈夫ですか? なんか、いつも日曜日は仕事の打ち合わせがあるとかいっているけど」

 ミチルはそういったけど、どうも彼女は彰の本名は知らないようだった。実はゼンタイフェチの人たちは本名を名乗る人は稀で、一種のハンドルネーム、だいたいはSNS上のものを名乗っている人が多いからだ。

 たしかにゼンタイフェチということを世間に広く公表するメリットはないし、かえって誤解される事の方がおおそうだった。それにしても私はこれからゼンタイで何かをするときはミャイちゃんですっていわないといけない! そんなことになるなら、もうちょっと考えればよかった。
 だってミャイちゃんって、実家で飼っている年老いた猫の名前だから・・・

 そんな想いを乗せて終電車は疾走していた。都会を駆け抜けていくので乗客はあまり減ってはいかなかったけど、目的地は近づいてきた。そこはあまり大きな駅ではなく寂しい所だとおもったけど、そとを見ると、あれ? ネオンが派手すぎる! 歌舞伎町ではなくてここは? そう思ってそのネオンの文字をみるとそれはラブホテル街だった!
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