34 / 57
5.ゼンタイでスリスリ
近づきたい!
しおりを挟む
ゼンタイを着ている人たちを見ていると・・・みんな人間には見えなくなっていた。人間のシルエットはしていてもみんな異形の姿をしていたからだ。それに記念撮影という事なのでみんなマスクを被り始めた。わたしは急ぎ彰ことアチャさんのところにいった。
その日は全部で二〇人ぐらい参加していたけど、中にはカップルみたいな二人が二組いた。そんな二人を見て「ゼンタイカップル」なんて囃し立てられていた。なぜならペアルックのゼンタイを着ていたからだ。
一組はメタリックゼンタイと呼ばれる金属のような光沢を放つ真っ赤なお揃いのゼンタイを着ていて、もう一組は真っ青なワニ柄のゼンタイを着ていたからだ。わたしは、そのカップルの顔をよく見ていなかったけど、手を組んだりしてバカップルじゃないの? なんて突っ込みをいれたくなるようにイチャイチャした雰囲気なのが分かった。
でも、その姿は羨ましくもあった。あんな風に彰と出来たらいいのにと。確かに彰とは付き合っていてデートも行った事があったけど、なかなか身体を寄せ合ってという事が出来ず、出来たとしても手をつなぐのがやっとだった。あんなふうに小鳥が戯れるかのようにじゃれ合うというのは、もうそれほど若くない私にはまぶしくって出来ない気がしたのだ。
そのせいか彰ことアチャさんのそばに私の身体は近づいていた。写真撮影なので密度が高くなっていたので、参加者の身体はくっつくようになっていたので、自然と他の人とゼンタイで触れ合うようになっていた。だから私の身体にアチャさんの唐草模様のゼンタイが接触していた。
その身体の感触は鍛えられ引き締まった身体だと分かる気がした。たしか高校時代は陸上をしていたと言っていたので、身体は丈夫そうだった。その身体に私は無意識に手をまわしていた。なんか大胆になっているようだった。
「もっと近づいていいよミャイちゃん。そうそうマスクを被らないとね」
そういってアチャさんは私の顔にヒョウ柄のマスクを被せ後ろのチャックを引き上げてくれた。こんな風に男の人にしてもらうのは初めてだったのでドキドキしていた。全員がマスクを被ったところでドンさんが、シャッターを押そうとしていた。その時面白いことを言っていた。
「みんな! 良い顔をしてくれい! あっ、ゼンタイのマスク越でいいからね」
するとアルルさんから突っ込みが入った。
「分かるわけないじゃないのよ、それは! でもゼンタイのマスクの中で幸せを感じている顔をしっかり撮ってちょうだい!」
「おお、そうするよ。さあ皆仲良くにっこりと、ハイ、チーズ!」
私はその時アチャさんの肩に抱きついていた。その肩はゼンタイ越であったけど頼もしく感じる事が出来た。
その日は全部で二〇人ぐらい参加していたけど、中にはカップルみたいな二人が二組いた。そんな二人を見て「ゼンタイカップル」なんて囃し立てられていた。なぜならペアルックのゼンタイを着ていたからだ。
一組はメタリックゼンタイと呼ばれる金属のような光沢を放つ真っ赤なお揃いのゼンタイを着ていて、もう一組は真っ青なワニ柄のゼンタイを着ていたからだ。わたしは、そのカップルの顔をよく見ていなかったけど、手を組んだりしてバカップルじゃないの? なんて突っ込みをいれたくなるようにイチャイチャした雰囲気なのが分かった。
でも、その姿は羨ましくもあった。あんな風に彰と出来たらいいのにと。確かに彰とは付き合っていてデートも行った事があったけど、なかなか身体を寄せ合ってという事が出来ず、出来たとしても手をつなぐのがやっとだった。あんなふうに小鳥が戯れるかのようにじゃれ合うというのは、もうそれほど若くない私にはまぶしくって出来ない気がしたのだ。
そのせいか彰ことアチャさんのそばに私の身体は近づいていた。写真撮影なので密度が高くなっていたので、参加者の身体はくっつくようになっていたので、自然と他の人とゼンタイで触れ合うようになっていた。だから私の身体にアチャさんの唐草模様のゼンタイが接触していた。
その身体の感触は鍛えられ引き締まった身体だと分かる気がした。たしか高校時代は陸上をしていたと言っていたので、身体は丈夫そうだった。その身体に私は無意識に手をまわしていた。なんか大胆になっているようだった。
「もっと近づいていいよミャイちゃん。そうそうマスクを被らないとね」
そういってアチャさんは私の顔にヒョウ柄のマスクを被せ後ろのチャックを引き上げてくれた。こんな風に男の人にしてもらうのは初めてだったのでドキドキしていた。全員がマスクを被ったところでドンさんが、シャッターを押そうとしていた。その時面白いことを言っていた。
「みんな! 良い顔をしてくれい! あっ、ゼンタイのマスク越でいいからね」
するとアルルさんから突っ込みが入った。
「分かるわけないじゃないのよ、それは! でもゼンタイのマスクの中で幸せを感じている顔をしっかり撮ってちょうだい!」
「おお、そうするよ。さあ皆仲良くにっこりと、ハイ、チーズ!」
私はその時アチャさんの肩に抱きついていた。その肩はゼンタイ越であったけど頼もしく感じる事が出来た。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
ゼンタイリスト! 全身タイツなひとびと
ジャン・幸田
ライト文芸
ある日、繁華街に影人間に遭遇した!
それに興味を持った好奇心旺盛な大学生・誠弥が出会ったのはゼンタイ好きの連中だった。
それを興味本位と学術的な興味で追っかけた彼は驚異の世界に遭遇する!
なんとかして彼ら彼女らの心情を理解しようとして、振り回される事になった誠弥は文章を纏められることができるのだろうか?
転校先は着ぐるみ美少女学級? 楽しい全寮制高校生活ダイアリー
ジャン・幸田
キャラ文芸
いじめられ引きこもりになっていた高校生・安野徹治。誰かよくわからない教育カウンセラーの勧めで全寮制の高校に転校した。しかし、そこの生徒はみんなコスプレをしていた?
徹治は卒業まで一般生徒でいられるのか? それにしてもなんで普通のかっこうしないのだろう、みんな!
AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。
ゼンタイフェチ女ですが受け入れてくれといいませんけど
ジャン・幸田
キャラ文芸
私はミチル。どこにでもいるような女の子だけど、家族に絶対言えない秘密があるの。ゼンタイフェチなのよ! 毎晩、家族が寝静まった後はゼンタイに着替えてお楽しみしているのフェチに目覚めたのよ。しかもフェチ友達がいっぱいいるのよ。変態? そんなことお構いなしよ! 今日も楽しんじゃうわ、ゼンタイでいろんなことを!
*いわゆるゼンタイ(全身タイツ)好きな主人公とその仲間との物語です。そのようなものが嗜好に合わない方は閲覧をお控えください。なお、特定のモデルはいない空想の物語ですので、どこかの誰かに似ていても気のせいです。


人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?
恥ずかしい 変身ヒロインになりました、なぜならゼンタイを着ただけのようにしか見えないから!
ジャン・幸田
ファンタジー
ヒーローは、 憧れ かもしれない しかし実際になったのは恥ずかしい格好であった!
もしかすると 悪役にしか見えない?
私、越智美佳はゼットダンのメンバーに適性があるという理由で選ばれてしまった。でも、恰好といえばゼンタイ(全身タイツ)を着ているだけにしかみえないわ! 友人の長谷部恵に言わせると「ボディラインが露わだしいやらしいわ! それにゼンタイってボディスーツだけど下着よね。法律違反ではないの?」
そんなこと言われるから誰にも言えないわ! でも、街にいれば出動要請があれば変身しなくてはならないわ! 恥ずかしい!
引きこもりアラフォーはポツンと一軒家でイモつくりをはじめます
ジャン・幸田
キャラ文芸
アラフォー世代で引きこもりの村瀬は住まいを奪われホームレスになるところを救われた! それは山奥のポツンと一軒家で生活するという依頼だった。条件はヘンテコなイモの栽培!
そのイモ自体はなんの変哲もないものだったが、なぜか村瀬の一軒家には物の怪たちが集まるようになった! 一体全体なんなんだ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる