やっと出来た彼氏がゼンタイフェチだったので私もゼンタイフェチになることにした。

ジャン・幸田

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3.フェチなるものとは

18.彰とお食事.1

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 私、安倉嘉奈が住むアパートは築五十年以上の昭和の雰囲気が漂っているというか、まだ昭和じゃないの? というような建物だ。もし、ここで男と同棲したら懐メロのかぐや姫が歌っていた「神田川」の世界だ。なぜ、そういうかというと、本当に風呂がないからだ!

 だから、私は銭湯へいつも行っている・・・のではなくスポーツジムに行ってシャワーを浴びているのである。それがほぼ毎日の日課だったので、ルーティンワークとなっていたが、その日は違ていた。仕事から帰って来た彰とばったり会ってしまったのだ。スポーツジムが彰が住むマンションのそばにあったというのを忘れていた。

 「彰さん、お疲れ様。いまお帰りですか?」

 「そうだよ。そうだ食事まだかな? 一緒に行かない?」

 そんなやり取りをして入ったのは雑居ビルの中にある無国籍な料理店だった。ようは和洋中を無節操に混ぜ合わせた創作料理を出すところで、私のリクエストだった。

 私はこうやって男の人と一緒にデート的な事をするのが夢だった。しかも近くにいて安心で居心地の良い時間を過ごせる相手に出会えて本当に幸せだとおもっていた。出来ればこのままずっと添い遂げたい、それは本当に叶えたいと。でもそれには、彰と付き合っていくためにゼンタイフェチにならないといけないんだ!

 そう考えていたら、いつの間にか箸を弄ぶように扱っていた、なんてハシタナイことを! 私は恥ずかしいと思っていた。すると彰は察したのか、例のイベントについて話しはじめた。

 「君に来てもらいたいイベントなんだけど、いろんな人が来るけど結構いい人たちだから。まあ、最初は驚くだろうけどね」

 彰はそのイベントに参加する人たちの話をしてくれたけど、内容については先ほどメールで教えてもらったホームページを見て既に知っていたので、なにをやるのか見当がついていた。当然それはゼンタイを着るイベントだった、しかもゼンタイフェチが集う! 

 ゼンタイフェチが集うイベントというのは、いろんなものがあるようだけど、彰に誘われたところは、みんなでゼンタイに着替えてまったりとした時間を過ごして、それから・・・ゼンタイであんなことやこんなことをするということだ。

 「わたし、正直な事をいうと少し恐ろしいのよ。そうでしょ? 知らない人と身体を接するだなんて・・・考えただけでも怖い。本当はあなただけを」

 そういって彰の手に自分の手を乗せていた。本当はこのまま二人だけの世界に・・・そうそう、私たちがいるところは個室だったから、他の人には見られていなかった。
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