やっと出来た彼氏がゼンタイフェチだったので私もゼンタイフェチになることにした。

ジャン・幸田

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3.フェチなるものとは

16.月曜日.2

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 そのワイドショーのコメンテイターはあまりよく知らない(単に芸能界に興味が薄いかもしれないけど)弁護士や作家、タレントなどだったけど、ゼンタイフェチを言い出したのはその中の中年オヤジみたいなのだった。そのオヤジがゼンタイフェチについてこういったのだ。

 「人さまの物を盗るのもいけないけど、人から見てどう思われるのかという事もかんがえないといけないですよ。
 たとえばゼンタイフェチ。自分で着て楽しむならいいですけども。人に見せたり仲間にしようとするのは、いかがなものかですよ」

 私は”仲間”というキーワードにひかかってしまったのだ。彰は私を単にゼンタイフェチにするのが目的で近づいたというわけなの? そう思ってしまったのだ。

 そのコメンテイターの話は明らかに本筋からずれていたし、話が綺麗にまとらないないためか、MCがコマーシャルといってジングルがなって終了した。
 わたしの心はドキマキしているというのにミチルがさらに追い打ちをかけるような事をいってきたのだ。

 「コスプレ全体に言えることだけど、似ていないのにそんなキャラクターを演じるの? という人がいるよね。あれなんかは変身フェチなだけじゃないかな?
 それにゼンタイフェチも顔が分からなくなるといっても醜悪な体形の男なんかが着たら、本当に慰謝料をくれと言いたくなるわ! 顔出しで勝負してもらいたいものよ!」

 ミチルはなぜそんなことを言いだしたのか分からないけど、その醜悪な体形の男と彰を何故か重ねてしまったの。彰は服のセンスはそれなりだと思うけどもし体形が露わになるゼンタイを着たら幻滅してしまわないかと・・・悩んでしまいそうだった。

 そういう私はミチルにふとこんなことを言ってしまったの。

 「梅津さん。ところであなたゼンタイフェチの人って会ったことがあるの?」

 すると何故か彼女は突然挙動不審になってしまった。それは何かを隠そうとしているような感じだった。

 「そ、それはねえ、まあ、その。あなたこそゼンタイフェチってどう思うのよ!」

 質問したのに質問で返す。まさに誤魔化しているのか答えたくないのか明らかな態度だった。でも、まあここでディスカッションする時間もそんなにないので手短に済まそうと思った。

 「そうねえ、悪くないんじゃないかな? 直接ゼンタイをみたことないけど」

 そのとき、ミチルの瞳が何か変わったような気がした。
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