やっと出来た彼氏がゼンタイフェチだったので私もゼンタイフェチになることにした。

ジャン・幸田

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3.フェチなるものとは

15.月曜日.1

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 ゼンタイフェチになろうと決心したものの、その週末は彰に用事があって会う事は叶わず、月曜になってしまった。週末になれば彰とデート出来ると思うと気分は晴れやかだけど、まだ五日も働かないといけないと思うと気が重くなってしまう私だった。

 私が働いているのは派遣会社に紹介してもらった通信販売会社の発送業務を行う部署だった。ここは客からの注文から送り状や商品の確認などを行い、全国に発送するところだった。だから、注文が殺到している場合には地獄のように忙しくなるところであった。

 ただ繁忙期と閑散期の差が激しいので、今の時期は極通常の仕事量しかなかった。だから、その日などは昼食を食堂に置かれたテレビをゆっくり見る事が出来た。

 私は一人で前の日にスーパーで半額で買ってきた割引弁当を食べていた。本当なら安い食材をかき集めて弁当を作るところだけど、ゼンタイについての情報を集めようとして、間に合わなくなったので、弁当を買ってきたのだ。

 「あら、安倉さん。珍しいわねいつもの可愛らしい弁当箱じゃないわね」

 私に近づいてきたのは、同僚の梅津ミチルで私よりも花のなさそうな雰囲気なのに何故かいつも昼になると寄ってくる女だった。

 まあ、昼は暇だしたまに飴玉などを貰えるからいいけど、正直なところどちらでもいいような女だった。

 「そうなのよ、手を抜いたわ今日は」

 「へえ。まあ、わたしもよ!」

 そういってミチルは私よりかは幾分値が張る(半額の)スーパーの弁当を出してきた。それにしても、彼女の良い点は綺麗な黒く長い髪ぐらいだった。ショートカットの私からすれば、それだけぐらいだった私よりよさそうなのは。

 テレビでは昼のワイドショーが流れていたが、何気なく聞いていたら「フェチ」という言葉が流れてきたので私はドッキとした。それは女物の靴ばかり盗んでいた泥棒が検挙されたという話題で、画面を見ると警察署のどこかに並べられた女物の靴が映っていた。

 その泥棒は女の足の匂いを嗅ぐのがたまらなく好きだという性癖を持っていて、自分で”靴フェチ”などとのたまわっていたということだった。
 その時、コメンテイターの一人が発していたのが「フェチ」だった。その人が次のような発言をしていた。

 「フェチも一人で楽しんだり、仲間で楽しんだりする分には問題ないですが、こんなふうに人のモノを盗むまでエスカレートするんなら、別のフェチでもなればいいじゃないか」

 そのコメンテイターの言葉に対し他の出演者が反論し始めたが、その中の一人が何故か「ゼンタイフェチ」という言葉を発したのだ。
 
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