やっと出来た彼氏がゼンタイフェチだったので私もゼンタイフェチになることにした。

ジャン・幸田

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1.出会いそして

03.謎の布切れ・3

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 私は黒い謎の布切れをレオタードと思ったのでぱっと開こうとしたの。しかし、その布切れは思いのほか大きかったので驚いてしまったのの。その布切れは丁寧にタオルのように折りたたまれていたけど、まず最初にストッキングのようなタイツの足の部分みたいなものが現れた。

 それはまるで冬なんかに私も使うハイソックスのような足に履く黒タイツに似ていた。それを見てわたしは男も使うのかしらんと疑問に思っていた。
 そう考えるとさらに変な事に気付いた。そのタイツは下半身だけでなく上半身もあって、ロング手袋のようなモノが目に飛び込んできたの。ここまで見たところで私はなんじゃこりゃ? と思った。これっていったい何なんだろうかと酔っぱらった頭を振って考えてみたけど・・・とりあえず広げようと思った。

 そしてついに大きく開いてみたの、そしたら目の前には黒い人型みたいなものが現れた! これはいったい?・・・
 その時わたしの頭にあるものが浮かび上がってきた! それはモジモジ君だった! テレビのバラエティー番組で芸能人なんかが身体を張った事をするときに着るもののように思ったのよ。でもおかしなことに気付いたの。

 これ着たら顔が見えなくなるんじゃないのよ! 頭部に穴がなく顔が見えないじゃないのよ! そう、これが私が全身タイツ略してゼンタイが存在することを知った瞬間だった。でも、彰はなぜこれを持っているのよ! まさか着るためなの?

 取りあえず、わたしは動揺を隠そうと元のようにしようと折りたたんで元の場所に隠したうえで、まだ酔っぱらっているふりをしたの。そしたら彰が戻ってきた。

 「嘉奈さん。気分どうですか? おうちに帰れますか? タクシー呼びますよ」
 彰はそういってくれたけど、実は私が住んでいるところは一つ先の駅のそばで歩いて帰れるぐらいしか離れていなかった。いつもの私は「健康」のためといって歩いて帰るところだったけど、わたしの頭の中にはさっきの謎の布切れ”ゼンタイ”のことばかりでいっぱいになっていたの。彰はそれを持ってなにをするのだろうかと、そこで・・・

 「彰さん、大丈夫ですよ。ところで・・・」
 そういいながら、わたしは立ち上がろうとしたとき、さっきの布にわざとひっかかった。なぜそうしたのかって? わたしにも分からないけど酔っぱらった頭のどこかがそうしたのかもしれない。わたしの手にあの布切れが引っかかっていた。

 「嘉奈さん、それは・・・」
 彰の顔色は何とも言えないモノへと変わっていった。それは兄がエッチな本を母に見つかって動揺しているかのような表情をしていたの・・・
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