彼女が ガイノイドスーツ に着替えたら

装着編！

全て脱いで

　玲和は言われた通りにシャワーを浴びにいった。あの真紀というヲタクな女は外で待っているという。いくら同性であってもキモイと思った。本当は男じゃないのよ、あいつ！　と思った。でも、どうしても現金が必要だった。上京してきて生活に必要なものを購入していると、予算が底をついていた。反対を押し切って来ているので、親元にお金を送ってと頼みにくかった。だから今回の話はありがたかったし、前金に五万円ももらっていた。それらは友人へ返済にあてたので、いまさら返せなかった。

　着てきた服を全て脱いでシャワールームに入ろうとしたときの事だ、お腹の調子が悪くなった。これってまさか毒でも盛られたの？　そう思ったが正しかった。あとで食べさせてあげるからと言われ朝食抜きで来たけど、真紀に下剤を飲まされていた！　だから、シャワーよりも前に下してしまった・・・

　それから三十分後、お腹の中身を全て出してしまった玲和は真紀に文句を言いにいった。すると、やんわりとこういわれた。あなた、これから機械の中に入るから人間としてトイレに行けなくなるのだから当たり前の措置よと。それなら先に説明してほしかった。

　説明といえば、その後も真紀は玲和にあまり何をするのかを教える事は少なかった。ただ、画像のロボットの姿になりなさいというだけだった。それって説明するのが苦手なのか説明が面倒なのか、それとも困惑する玲和の顔を見るのが楽しみにしているのかは分からなかった。

　ようやく、これでシャワーを浴びる事が出来ると玲和は一安心した。事前に真紀から渡されたシャンプーはとても上品な香りがして、もしかすると高級品かもしれなかった。そして、気のせいか肌がツルツルに輝いてきたように思えた。この時になって玲和はこんなことを思った。

　ああ、この身体があの金属の塊の中に入るんだよね。勿体ないじゃないのよ！　こんなに綺麗なのに！　それにコンパニオンだといってもロボットじゃ、誰が誰なんかわからないじゃないのよ！　それじゃあ、有名になれないじゃないのよ！　でも、あの画像のロボットって格好良かったよね。あんなプロポーションのいいボディに包まれるって、素敵なことかもしれないわよね。なんかドキドキするわ！

　そう、玲和はロボットに魅力を感じ始めていたのだ。そのロボット、正確には汎用型ガイノイド”レイナ”だった。ちなみに試作タイプが”レイワ”と言ったが、今回はその試作機よりも実用化が進み、実際に仮発注も何体が受けているほどの盛況ぶりだという。でも、その商談の場に”レイナ”が一体もないというのは、プロモーションとしては失敗なので、動作確認用の人間が内臓となる機体を五体用意することになったが、一体分内臓が用意できなかったので、呼ばれたのが玲和だったのだ。玲和は最後に召集された内臓だったわけだ。

　シャワーから出た時、あることに気付いた！　さっきまで着ていた服がないのだ！　いったいどういうことなのよ！