AIアイドル活動日誌

メグミはじめての営業に

商店街（１）

　栗林めぐみにとって、初めての芸能人として人前に披露されたのは少し屈辱感があった。正式にデビューしていないのに芸能活動させられるし、人間ではなくガイノイドとしてであったから・・・

　一行のピン芸人とアイドルロボ2体（二人）とマネージャーが着いたのは都内のとある商店街だった。そこでは、ちょっとした縁日の催事があって、そこで宣伝するものだった。それにしても、誰がこんな営業を取ってきたというのだ？

　「じゃあ、これが君のギャラね。前払いだから貰ったからといって逃げないでちょうだいね」

　白武マネージャーが越智に渡したのは茶封筒だった。今どき現金でやり取りするなんてアナログだと思った。

　「逃げません！　これっぽちじゃ！　辛うじて月給制だから暮らせますけど、早く沢山もらいたいです！　俺！」

　そういって茶封筒から出したのはコイン一枚だった。それじゃあファーストフード店に行っても大したものは買えそうもないぐらいだった。ちなみに、ロボ二人はギャラなしだった。会社の備品だから！

　「とりあえず、みんなで商店会長のところに行きましょ！　そうそう、商店会長はうちの本社の家庭用ロボの代理店でもあるから、彼女らがメインよ。いいわね越智君！」

　「やっぱり、俺ってオマケ？　運転手だけじゃないからいいけど」

　「そうよ！　ろぼギャルズとハイペリオン・クリエイトのスペシャルシリーズの宣伝がメインよ！　それでもちゃんと公演があるのよ！　いいわね」

　そういうと白武マネージャーは張り切っていたけど、本当はどっちを売り出しに来たのか訳が分からなくなる三人であった。