AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田

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メグミはじめての営業に

はじめての営業(2)

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 その声は誰なんかとメグミは考えていた。そして記憶の底を探り始めた。懐かしいという事はどこかで会った事があるのではないかと。運転席にいるのにまるで一緒に仕事・・・をやるんだと思った。メグミは何とかして運転席にあるバックミラーをのぞき込もうとしたが無理だった。顔の部分が見えなかった。

 その時、メグミは恥ずかしくなっていた。もし、知っている誰かだったらと。でも、今の自分は誰が見てもロボットにしか見えない姿をしていた。少子高齢化の進行に伴う労働力不足を補いためにAI搭載の人型ロボットなんか、珍しくもない現在では都会でロボットが電車に乗っていても誰も驚かないので、ああロボットがいるなんて思われるしかないようだ。

 でも、中身は本物の人間、半ば騙されてロボットの姿にされた哀れな少女。その惨状を誰にも伝える事は出来ないし、出来ても相手に知られるのは嫌だった。

 「俺って、その女ロボたちと何をすればいいんですか? 夫婦漫才なんてできませんよ。ああ、そうだ! 中に人はいません! だって、ロボットなんだよ、可愛くてもなんてね」

 運転手の冗談はメグミは笑えなかった。本当に中の人はいるって! いるのに! そう突っ込みをいれたかったけどリミッター作動のメッセージが視界に広がっていた。

 「まあ、そんなに毒つくな! 越智おちくん!」

 お、越智? なんか聞いたことがある気がした。でも、記憶の蓋が空きそうで開かなかった。そのとき丁度信号が赤になったらしく男が後ろを覗き込んだ。

 「白武さん! 俺のようなピン芸人とやるんだったら、そこのピンクのロボと組ましてもらったら丁度いいんじゃないですか?」

 その顔を見てメグミの記憶の蓋が開いた。その男は憧れの先輩だった!

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