【短編完結】追い出した婚約者に呪われた男

ジャン・幸田

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【裏】美羽の真実

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 美羽は存在消滅の術をかけられて、その効力で清次郎に強力な呪いをかけた。本来の寿命に美羽の寿命を合算した年数だけ、生き地獄を味合う事になった。彼女は消滅し彼女の魂はどうなったか、それは本当に知らない方がいいだろう。もしかすると輪廻転生の輪から弾き飛ばされ、この世界からは消滅したようだ。

 もし、この世界に神が本当にいるのなら、彼女の魂は救われたかもしれない。しかし救われることはなかったのかもしれない。なぜならもう彼女という存在は消滅したからだ。

 ただ言えることは婚約破棄をした清次郎は不幸になり、そして美羽は消え去った。誰も幸せになることはなかった。ただそれだけの結果である。それが清次郎が知った事であった。

 





 「お主、本当にそれでいいのか?」

 追い出された美羽が最期に尋ねたのは術師のところであった。そこで美羽は自分の存在と引き換えに清次郎に強力な呪いをかける依頼をしていた。

 「いいですわ。婚約破棄したいのならそう言えばいいのに罠にかけるなんて卑劣な事をするのは許せません。それに、あの人と結ばれないのなら消えていなくなりたいです。たとえ父と母に会えなくても構いません」

 それが美羽の願いだった。そのあと美羽は業火の中へと身を投じ心も身体も魂さえも消滅してしまった。全て無に帰ってしまった。そのあと、清次郎は死んでからも苦しんだというのは別の話だ。婚約破棄をするにしても、考えてほしいものである。

 
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