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プロローグ
2018年冬(3)
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僕の家があるのは西日本のとある地方都市の郊外だ。ここは山間部でいわゆる限界集落まではいかないが、人口の流出が続いた結果ほとんどが老人という状態になっていた。一番若いのがワラフォーの僕という有様だ。だから尋ねてくるのがいてもご近所さんの老人か郵便配達ぐらいなものだ。しかし、この日は違っていた。
目の前には僕と同じぐらいの年齢の男だったが、その恰好は汚らしかった。ボロボロの革ジャンを羽織りその後ろにはこれまたボロボロの軽ワゴンが見えた。それで日本を一周しているような雰囲気があった。
「久しぶり!」
男はそう言ったが、脳裏の記憶の海からなんら情報が浮かび上がってこなかった。それで怪訝な顔をしてこういった。
「どちら様?」
その時、必死に誰なんかを思い出そうとする努力はしていなかった。どちらかといえば思考停止に近かった。誰なんだコイツは? という思いが強かったからだ。すると、その男がこう切り返した。
「しかたないなあ、無理もないかな? もう十年前だからな最後に会ったのは。まあ、今回こうしてきたのも最期かもしれないけどな・・・」
十年前に会った? 十年前? どうしても思い出せなかった。十年前までは東京という幻のようなところにいたんだが・・・このとき男がこういった。
「こういう身なりだけど俺だよ。誠也だ!」
「誠也?」
その時、脳裏にある情報が浮かび上がろうとしていた。目の前の男も日記の登場人物だったからだ。
目の前には僕と同じぐらいの年齢の男だったが、その恰好は汚らしかった。ボロボロの革ジャンを羽織りその後ろにはこれまたボロボロの軽ワゴンが見えた。それで日本を一周しているような雰囲気があった。
「久しぶり!」
男はそう言ったが、脳裏の記憶の海からなんら情報が浮かび上がってこなかった。それで怪訝な顔をしてこういった。
「どちら様?」
その時、必死に誰なんかを思い出そうとする努力はしていなかった。どちらかといえば思考停止に近かった。誰なんだコイツは? という思いが強かったからだ。すると、その男がこう切り返した。
「しかたないなあ、無理もないかな? もう十年前だからな最後に会ったのは。まあ、今回こうしてきたのも最期かもしれないけどな・・・」
十年前に会った? 十年前? どうしても思い出せなかった。十年前までは東京という幻のようなところにいたんだが・・・このとき男がこういった。
「こういう身なりだけど俺だよ。誠也だ!」
「誠也?」
その時、脳裏にある情報が浮かび上がろうとしていた。目の前の男も日記の登場人物だったからだ。
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