ノストラがいた夏の日には・・・

ジャン・幸田

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プロローグ

2018年冬(1)

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 国破れて山河あり、とはいうが僕の場合は夢破れて何もないであった。必死に勉強して高校、大学と出て良い所に就職してからあとは・・・といった青写真というか人生設計を描いていたけど、時代は思うようにいかなかった。当時の若者と同じくマトモに就職できず非正規雇用で中年になってしまったという珍しくもない人生だった。

 それで結婚していれば別の景色があったかもしれなかったが、そんなものはいなかった。だから今は悲惨だった!

 その年の冬は暖かいかと思ったら急激に寒くなるなど不安定だった。だから身体にしみていた。なぜなら光熱費に事欠く生活をしていたから。なぜなら母親の介護の為に田舎に引きこもってしまったからだ。ここはボロでも格安で親戚から借りる事ができたから。

 そんな、ある日の事。いらなくなった昔の教科書などを処分しようとして整理していた時、高校時代の日記が出てきた。それは表紙に自分の文字でしたためた「世紀末日記」とあった! その文字を見た時あの時の事が蘇ってくるような感覚がした! でも、それは一瞬で冷めてしまった。母のデイサービスから戻ってくる準備をしなければいけないからだ。だから僕はその日記をテーブルの上に放り出していった。
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感想 1

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