アルテミスの着ぐるみ美少女たち

ジャン・幸田

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(外伝一)アルテミスの美少女着ぐるみ隊

アイリス製作所へ

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 成海の希望で、半ば強制的にそのまま志桜里と愛梨は成海の個人事務所所有のステーションワゴンに乗せられアイリス製作所へと直行した。ワゴンにはシオンも乗っていた。彼女の本名をその後も名乗らなかったのでわからないが、ドーラーでは特に珍しくないことのようだ。どうも一般生活とドーラ活動は完全にわけているようだ。

 アイリス製作所では金城育枝が川相の連絡で急いで基美と紘子の着ぐるみマスクと肌タイの準備をしていた。着ぐるみマスクは予備として制作されたものを、肌タイは試着用をクリーニングしたのを棚から出してきた。育枝は川相の指示通りにしていたが基美の内臓が真性の女性だという事に驚いていた。まさかアスリートのような内臓になる女がいるとは信じられなかった。でも180センチ近い女用の肌タイはないので男用のものから探していた。

 製作所に向かうワゴンの中では明るい愛梨とは対照的に志桜里は不安になっていた。目の前のシオンは肌タイを着たまま乗っていたのでなんとなくどんなものを着用するのか想像できたからだ。

 「シオンさん。そのタイツのようなものって全身に着ているのですか?」

 愛梨はそういってシオンの手のひらを触っていた。

 「そうよ。モジモジくんってみたことないかなテレビのバラエティーで?」

 シオンはそういってとあるお笑いタレントの仕草をしていたようだが、二人には通じていなかった。

 「実は・・・子供のころからバスケ漬けであまりテレビ見た事ないのですが・・・」

 志桜里は正直に答えた。テレビなんて興味なかったこともあるけど遅くまで起きていることはなかったから。

 「えっ? それじゃあその基美みたいな身体って本当にアスリートだったの?」

 シオンは意外だね! といった感じだった。

「ええ、まあ・・・」

 「そうなんだ! そりゃ成海先生が気に入るはずだね? 言っていたじゃないの基美のように立派な体形だって! 本当に羨ましいなその背! モデルだってできるじゃないの!」

 「そうですか・・・」

 「それにしても、基美のコスプレできるじゃないの? そのままでも? なんとなく基美に雰囲気似ているよ」

 シオンはそういうと「アルテミスの美少女たち」のライトノベルの表紙を取り出した。その表紙ではバレーボールの練習をしている基美に寄り添う真里亜の姿だった。その時の基美の顔は言われるように志桜里に似ていた。

 「いいわねえ志桜里。似ているじゃないのよ! 羨ましいなあ。ところであたしは何になるの?」

 愛梨は軽い気持ちで聞いたが、シオンはどこかにメールかなんかで連絡していた。するとしばらくしてこういいだした。

 「そこのあなたは紘子だって! なんかしらないけど身長がちかいからじゃないかな?」

 「ひ、紘子? あれって基美を目の敵にしている女じゃないのよ! そんなのいやだなあ・・・」

 愛梨は少し不機嫌そうになった。
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