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(外伝一)アルテミスの美少女着ぐるみ隊

勧誘されたふたり

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 相川は着ぐるみに興味がありそうなので胸をなでおろしたが最大の問題があった。どうやって目の前の背が高い娘(志桜里)を基美の内臓にするかである。男の自分が誘うのが問題があった。いきなり見ず知らずの男に勧誘されたら警戒されるに決まっているから。それに、イベント会場内は女の子しかいないから、男の自分の存在は浮いていたから。そこで成海にも承認を得たうえで作戦を実行することにした。

 一通りのプログラムが終了したあと、成海とアニメ関係者のサイン会が開かれた。その列に志桜里と愛梨も並んでいた。成海の前に志桜里が来た時、何故か他の人とは対応が違いのが気になったが、そんなものかなあと思っていた。やっぱり背が他の女の子よりも高かったからかなと思った。そして会場から出ようとしたとき、横から声をかける人形がいた。それに驚いたのは愛梨だった。しゃべることのないはずの着ぐるみ美少女がしゃべったからだ。

 「あなたたち私の姿になるの興味ないかしら?」

 その声は着ぐるみマスクの下から発せられるのでくぐったようなものだったが、女の声だった。その着ぐるみは詩音だった。愛梨から着ぐるみの内臓は大抵男だと聞いていた志桜里も興味津々なようすで聞いてきた。

 「そうですねえ興味ないといえばウソになるけどね。それにしても、その恰好って窮屈じゃないのですか? それに前が見えているのですか?」

 「なれたら窮屈じゃないわよ。それにあなたたちの顔よく見えるわよ。左のあなたはまるで基美みたいだねえ、それに右のあなたは・・・それなりねえ」

 憧れの作品のキャラクターに似ていると言われ志桜里は悪い気はしなかったが、愛梨は少し嫌な思いがしたようで。

 「それなりとはなによ! あたしだってあんたのようにマスクを被ったら誰かに似るわよ、絶対!」

 「あなたマスク被ってみたいの? それなら体験してみないあなたたち?」

 「体験ってなによ?」

 「あなた着ぐるみの内臓になってみない? そこのお友達と一緒に」

 「えっ? それってなによ!」

 「わたしと同じ姿になるのよ!」

 そこまで言ったところで後ろから会場を出る人混みが増えだして邪魔になったので二人は詩音に連れられてイベント会場の控室みたいなところに連れていかれた。その時他のスタッフも大勢いたのになんら制止されないのが不思議であったけど、二人はひこずられるように付いていった。

 詩音は黒いおかっぱの背が低い女の子で、古風な日本人形みたいな顔つきをしていた。作品の中では大人しい大和撫子のようであって、裏で同級生の事をいろいろと詮索するのが好きで、覗き見ている事が多いというキャラクターだった。

 ステージの上で志桜里と真里亜がいちゃついているのを後ろから見ているところを明菜に突っ込まれる場面があった。どちらかといえばトラブルメーカーというわけだ。

 その詩音が控室に入ると被っていたマスクを取ると、内臓の顔は印象が違っていた。派手なギャルといった雰囲気だったから。

 「驚いた? 詩音の内臓は全然違うのよ! あなたたちも着てみない? アルテミスの美少女たちのキャラクターの内臓になったら変わるわよ!」
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