アルテミスの着ぐるみ美少女たち

ジャン・幸田

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(6)二人の逃避行

出来てしまった・・・

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 イベントの後。着ぐるみ美少女に興味をもった俺は、いろんな情報を集めるようになった。もちろん当時は高校生なので、おいそれとイベントに行けなかったが、なんかのイベントがあれば撮影しに行く事が多くなった。幸い父が戦場カメラマンだったので、海外にもっていかない撮影機材だけは自由に使う事が出来たからだ。

 一方の志桜里はといえば、ますます「アルテミスの美少女たち」にのめりこんでいたようだ。時には自分で同人誌にでも載せるわけでもなのに、二次制作物を自分なりに書くことも有ったが、彼女も着ぐるみ美少女の内臓になりたいとの願望が芽生えていたようだ。もちろんその時は、アニメマスクを購入するまではいたらなかったが。

 志桜里と俺は同じ高校に通っていた。校則では男女交際禁止なんてものは規定されていなかったが、不文律として運動部員は恋愛しないようにという暗黙の伝統があった。だから志桜里は誰とも付き合った事はなかった。もちろん実らない初恋はしたことあったようであるが。

 学校に復帰した後も俺は近所だったこともあり志桜里と同伴して登下校していた。もちろん周囲は従姉弟同士だし事情が事情なのでなんら不自然なものと受け止められることは無かった。しかし、二人が意識した時は恋人になっていた!

 従姉弟同士がカップルになるのは倫理的に問題ないはずだったが、一番気付かれてはならない人がいた。それは二人の母親の父、共通の祖父だった。祖父によれば遺伝的に一緒の母親から生まれたんだから父親が違う姉弟と同じであり男女の仲になるのはまかりならぬというものだった。それを言われたのは中学生の時だったが、その時とは違い本気の仲になっていたので深刻だった。そう俺たちが恋人同士というのはばれてはならなかった。

 もっとも、手を繋いだり(人から見れば介助しているようにしかみえないけど)キスをしたりするのはしても、それ以上の関係になることは無かった。最大の理由は志桜里の傷が完全に癒えていない事もあったが、そんなタブーを破るほどの度胸を二人とも持っていなかった。

 そんなこんなで三年生の冬が来てしまった。二人とも進学先が違っていたのであるが、偶然か二人とも東京方面だったので、別れる事はなかったが・・・ばれてしまったのだ。祖父に、祖父は烈火のごとく怒り狂っていた。従兄妹から男女の仲になることを。その怒りを目の当たりにして若い二人は、そう別れるしかなかった。しかし卒業式のあと事件が起きた。
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