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(3)コスプレ会場にて
あの声は
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「基美」の内臓になっている志桜里はサリヴァン先生に扮している成海に撮影許可を求めている何人もの声の中に聞きなれたような声がした。その声の方向に顔を向けてはみたが、マスクの限られた視界からははっきりと見えなかった。どうも真里亜の方を撮影しているようだった。
その声の主のカメラは結構高価なカメラだった。もっとも、レイヤーを撮影するためにカメラだけでなく様々な装備を持参してくるのは珍しくなく、レフ板や鏡などは当たり前のように使いこなしているのは何人もいたけど、そのカメラは見覚えがあった。そのカメラの持ち主に心当たりがあった。
真里亜の後は他のキャラクターを撮影していたけど、たまたま別の自撮り棒を持ったレイヤーの人と撮影していたので確認できなかった。そのレイヤーのコスプレはなんと女装子の「基美」だった。どうも気が合うと思ったようだった。
その女装子は着ぐるみの「基美」と腕を組んできたが、どうも内臓が女性であると分かったらしく、あなたっていいわね、それ気持ち良いの? なんて聞いてきた。もちろん「しゃべれない」のでうなずくしかできなかったが、マスクの下の志桜里は男と腕を組んだことにドキドキしていたので、焦った顔をしていた。そのときあの声の主が目の前にあらわれた。
その顔はマスクの細い瞳から見えたが、幼馴染の橘高弘樹だった! 思わず焦ってしまったけど幸いなことに顔は分からないので、見せなくてもよかった。
弘樹は一歳年下で、双方の母親が姉妹ということで一緒の時を過ごす事が多く、幼い時から姉弟のように遊んでいたし、もの心がつくころまで一緒にお風呂に入った事もある関係だった。そのような親密な関係は学校は別々でも高校生になっても続いていたけど、志桜里が大事故に遭って苦しんでいるときに急速に心の距離が近づいて・・・二人の事を知った友人からは、将来はノミの夫婦なのかと冷やかされたものだ。
まあ、そんなこんながあったがために恋人同士に従姉弟がなるのはまかりならんと言われ、半ば強引に双方の両親に引き離されたのは二年前の事だった。そのあとは互いに違う進路で住む町も違うようになったので、交流が無くなっていた。
そんな浅からぬ関係の男女が再会したというのに志桜里はなんてことなんだろうと思っていた。今の状態じゃ名乗ることも出来ないと! 弘樹の目には「アルテミスの美少女たち」の男のように背が高いキャラクターの基美、真里亜とは同性愛的な関係になっている基美、として映っているのだから。それに着ぐるみはしゃべってはいけない! それは女の着ぐるみであっても守らなければならなかった。
そう思っているとなぜか弘樹の身体をガン見している成海に志桜里は気づいていた。その眼光に見覚えがあった。
その声の主のカメラは結構高価なカメラだった。もっとも、レイヤーを撮影するためにカメラだけでなく様々な装備を持参してくるのは珍しくなく、レフ板や鏡などは当たり前のように使いこなしているのは何人もいたけど、そのカメラは見覚えがあった。そのカメラの持ち主に心当たりがあった。
真里亜の後は他のキャラクターを撮影していたけど、たまたま別の自撮り棒を持ったレイヤーの人と撮影していたので確認できなかった。そのレイヤーのコスプレはなんと女装子の「基美」だった。どうも気が合うと思ったようだった。
その女装子は着ぐるみの「基美」と腕を組んできたが、どうも内臓が女性であると分かったらしく、あなたっていいわね、それ気持ち良いの? なんて聞いてきた。もちろん「しゃべれない」のでうなずくしかできなかったが、マスクの下の志桜里は男と腕を組んだことにドキドキしていたので、焦った顔をしていた。そのときあの声の主が目の前にあらわれた。
その顔はマスクの細い瞳から見えたが、幼馴染の橘高弘樹だった! 思わず焦ってしまったけど幸いなことに顔は分からないので、見せなくてもよかった。
弘樹は一歳年下で、双方の母親が姉妹ということで一緒の時を過ごす事が多く、幼い時から姉弟のように遊んでいたし、もの心がつくころまで一緒にお風呂に入った事もある関係だった。そのような親密な関係は学校は別々でも高校生になっても続いていたけど、志桜里が大事故に遭って苦しんでいるときに急速に心の距離が近づいて・・・二人の事を知った友人からは、将来はノミの夫婦なのかと冷やかされたものだ。
まあ、そんなこんながあったがために恋人同士に従姉弟がなるのはまかりならんと言われ、半ば強引に双方の両親に引き離されたのは二年前の事だった。そのあとは互いに違う進路で住む町も違うようになったので、交流が無くなっていた。
そんな浅からぬ関係の男女が再会したというのに志桜里はなんてことなんだろうと思っていた。今の状態じゃ名乗ることも出来ないと! 弘樹の目には「アルテミスの美少女たち」の男のように背が高いキャラクターの基美、真里亜とは同性愛的な関係になっている基美、として映っているのだから。それに着ぐるみはしゃべってはいけない! それは女の着ぐるみであっても守らなければならなかった。
そう思っているとなぜか弘樹の身体をガン見している成海に志桜里は気づいていた。その眼光に見覚えがあった。
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