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(3)コスプレ会場にて

誰かいないかな

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 最初のうち、それほどギャラリーがいなかった成海が集めた着ぐるみ美少女であったが、昼が近づくにつれて見物に来るものが少しずつ増えて行った。もっとも、多くは着ぐるみレイヤーが好きな連中だった。

 その中でも人気だったのはヒロインの真里亜だった。彼女の内臓が女性なのは明白だったしそれに主人公だから当然のことだった。他のキャラクターもそれなりの人気を集めていたが、やはり基美は敬遠され気味だった。やはり身長も高いキャラクターなので内臓が男と思われているのかもしれなかった。

 着ぐるみ達は「しゃべること」は出来ないので撮影の受付や説明などは全て成海がやっていた。作者自身が自分のキャラクターの付き人をやっているのもオカシな光景であったが、それを彼女は楽しんでいるようだった。ギャラリーの多くは「アルテミスの美少女」の作者だと気付く事はなかった。気づくとすれば熱心なファンぐらいのものだった。

 成海は寄ってくるギャラリーの中から真里亜と明菜のイメージに合っていて着ぐるみの「内臓」になってくれそうな「中の人」を探していた。この方法で他の三人は探し出したのだが、どうしてもあとの二人が見つからなかったのだ。
 今日のイベントにはモデル事務所に紹介してもらった女の子を使っていたけど、体形はともかく内面にあるものは違っているように感じたので、はやく二人を見つけたいと少々焦っていた。
 特に真里亜は基美と相性が抜群で成海の妄想を実体化してくれる内臓でなければならなかった。だから出来れば基美に興味を持っていて真里亜の体形に近いのであれば男女の違いは問わないつもりだった。

 着ぐるみの内臓になる場合、実際の体形とキャラクター設定の体形が多少違っても修正することは可能だった。たとえば詩音はウエストとバストの差が大きいので、わざわざ内臓の子に胸パットをつけてもらっていたので、男でも極端に大柄でもなければ股間などにボディースーツをつけさせれば女性着ぐるみの内臓になることなど、難しいものではなかった。

 だから成海は二人の内臓にする候補を選びたかった。幸いなことに明菜の方は何人か着ぐるみに興味があるという学生が声をかけてきたので、後で事務所に連絡するようにと伝えた。実際に何人がくるかは分からないけど、とりあえず待っておくことにした。

 作品の中で明菜の登場頻度は多くないし、他にも適切な役も数多くあるのでそちらの方の着ぐるみにすればいいだけの話だった。
 だが真里亜の方はなかなか現れなかった。だから成海は心の中で誰かいないのかなとつぶやいでいた。
 
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