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(1)コスプレ会場の出会い

気になる着ぐるみ

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 着ぐるみの「中の人」は殆ど男だから撮影しないという撮影者もいるが、外見はアニメの世界から抜け出たように愛らしい姿が俺は好きだ。その日の美少女着ぐるみもアニメやゲームのキャラクターのものが数多くあり、全国各地から集まったとも思えるぐらいであった。

 そういったものを撮影していたが、俺は気になる着ぐるみがいた。それは「アルテミスの少女たち」という作品の着ぐるみだった。その作品は美少女が数多く登場する学園もので、いろんなキャラクターがでるので人気があった。
 そのため、いくつものチームがキャラクターになり切って撮影に応じてくれた。そんななか、主要なキャラクター五人と年配の女性がいるブースがあった。

 そのうち、年配の女性だけが着ぐるみではなかったが、それは作品に出てくるマリー・サリヴァンという老女教師のコスプレだったが、作品から本物が出てきたようにそっくりだった。他のキャラクターもクオリティーが高くそのまま着ぐるみショーが出来そうなぐらいの出来栄えだった。

 そのなかでも主人公の真里亜とその「姉貴分」の基美だった。二人は百合百合の関係なので女同士でいちゃついていた。ちなみに真里亜は身長が163センチで基美は185センチと身長差のあるキャラクターだった。しかも185センチにもなると、さすがに「内臓」になっている「中の人」は男なんだろうなあと思ったが、これほどまでのクオリティーの着ぐるみも中々ないので、撮影の許可をもらってシャッターを切り始めた。

 最初のうちは俺は真里亜の方を撮っていたけど、そのうち基美の方が気になってきた。基美のプロポーションがなぜか懐かしく感じてしまったからだ。基美のウエストはものすごく細いし胸も自然なバストだ。とてもじゃないけど男性がやっているようには見えなかった。

 ちなみに最もかんたんな着ぐるみ美少女の内蔵が男かどうかを確かめる方法は、股間の膨らみもであるが、首筋の肌タイ(スキンカラーの全身タイツ)から喉仏のふくらみがあれば確実にそうであった。もっともベテランともなるとそのあたりはうまく処理しているので、その限りではないけど。

 そのブースを後にして、他のブースも撮影したあとで、会場内の売店でお昼を買って飯にしていたが、なぜか基美の姿が脳裏に焼き付いてしまっていた。それは午後も一緒で、同人誌販売コーナーにいるレイヤーさんを見にあるいている最中も同じだった。

 それで、午後三時過ぎになって俺は再び基美がいたブースに足が向かっていた。もしかするといなくなっているかもしれないというのに。

 
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