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(7)「アルテミスの美少女たち」のコスプレイベント列車
ふたり
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弘樹と志桜里を乗せた新幹線は北へと向かっていた。予定では途中で降りて別の列車に乗り換えて集合場所のとある地方都市に行くことになっていた。本当は前日前夜に来るように依頼されていたのだが、たまたま志桜里に用事があったため二人とも当日出発になってしまった。どうも、成海先生は主役級の二人が来ないかもしれないとヤキモキしていたようだ。
始発から乗った新幹線が途中でそれなりに乗客が増えてきたあたりで下車した二人は初めて降りる駅に戸惑いながらも、渡された案内図を頼りに改札を出てさらに別の鉄道事業者の改札に入った。先ほどまでのJRの駅と比べてもずっと小さい駅舎の脇にあるホームには小さい気動車一両が待っていた。そのような列車は首都圏では殆どみたことがないので志桜里はどこか落ち着かない様子だった。
「どうしたの志桜里ちゃん?」
弘樹は彼女の不安な様子に気付いた。そこには大勢の荷物を持った男女、というよりも男の比率が高かった。どうも今日のイベントに関係あるようだった。そう思ったのも志桜里で弘樹にそっと小さな声で耳打ちした。
「先生から聞いた話だけど、今日のイベントってコスプレイベントなのよ。みんなでコスプレしてもいいということだけど、どうやら着ぐるみさんが多いいかもしれないといっていたわ」
「そういうことか」
弘樹はなんとなく分かった。荷物を持っているのは同じイベントに参加する一般客だと。それにしても「アルテミスの美少女たち」のキャラクターはほぼ女子なので、参加者のうちコスプレで参加する男は着ぐるみの可能性が高かった。でも、続きは言うのはやめにした。ここで内臓になることがバレるのはまずいと思ったからだ。
気動車の中は熱気で咽びそうであった。もう座る余地もないので仕方ないので降車ドア近くのデッキで立つことにした。この鉄道は寒冷地にあるのでこんな構造のようだった。
「すごいわねえ、ここ」
志桜里がそう話すと隣の中年の女性が話しかけてきた。
「あなたも成海先生のイベントに参加するの?」
参加者らしいので、いろんなことを聞かれるのはまずいので、二人とも知らないふりをした。すると女性は聞かれもしないのに、自分の大きな荷物について話し出した。
「これからね、アルテミスの少女たちのファンイベントがあるのよ。イベントに真里亜の着ぐるみを着るのよ」
その話を聞いた弘樹は少しずっこけてしまった。
始発から乗った新幹線が途中でそれなりに乗客が増えてきたあたりで下車した二人は初めて降りる駅に戸惑いながらも、渡された案内図を頼りに改札を出てさらに別の鉄道事業者の改札に入った。先ほどまでのJRの駅と比べてもずっと小さい駅舎の脇にあるホームには小さい気動車一両が待っていた。そのような列車は首都圏では殆どみたことがないので志桜里はどこか落ち着かない様子だった。
「どうしたの志桜里ちゃん?」
弘樹は彼女の不安な様子に気付いた。そこには大勢の荷物を持った男女、というよりも男の比率が高かった。どうも今日のイベントに関係あるようだった。そう思ったのも志桜里で弘樹にそっと小さな声で耳打ちした。
「先生から聞いた話だけど、今日のイベントってコスプレイベントなのよ。みんなでコスプレしてもいいということだけど、どうやら着ぐるみさんが多いいかもしれないといっていたわ」
「そういうことか」
弘樹はなんとなく分かった。荷物を持っているのは同じイベントに参加する一般客だと。それにしても「アルテミスの美少女たち」のキャラクターはほぼ女子なので、参加者のうちコスプレで参加する男は着ぐるみの可能性が高かった。でも、続きは言うのはやめにした。ここで内臓になることがバレるのはまずいと思ったからだ。
気動車の中は熱気で咽びそうであった。もう座る余地もないので仕方ないので降車ドア近くのデッキで立つことにした。この鉄道は寒冷地にあるのでこんな構造のようだった。
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「あなたも成海先生のイベントに参加するの?」
参加者らしいので、いろんなことを聞かれるのはまずいので、二人とも知らないふりをした。すると女性は聞かれもしないのに、自分の大きな荷物について話し出した。
「これからね、アルテミスの少女たちのファンイベントがあるのよ。イベントに真里亜の着ぐるみを着るのよ」
その話を聞いた弘樹は少しずっこけてしまった。
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