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寂れた銅山に囚われたものたち
天保銭(2)
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公儀というのは江戸に居られる公方様のことだ。その公方様の手下が作っているモノをこんな田舎の諸侯が作るというのは、それはダメではないじゃないか。その場にいた者たちはもう気付いていた。ここはご法度な密造銭を作るための寄せ場だと。すると、もしかしてという頭がよぎった。それは必要がなくなれば口封じされると。
「おい、お前ら! とりあえずなあ、ここでこれからやることは他でしゃべるじゃないぞ! ちなみに終わったら報酬としてここで作った天保銭を一貫目くれてやる! それに飯は良いモノ食わせてやるから、せいぜい励め!」
侍は偉そうに言った。みんなここから出て行きたかったが、普通に考えたら無理だった。ここはどこなのか分からないし、近くの村までどれくらい離れているのか分からないし方角も分からない。ここから脱出しても無事にたどり着くとは思えなかった。それに徒党を組んでいくのも難しかった。空気からしてわかった。ここに集められた者は全て悪人だから。
「そうそう、これから飯を食わしてやる! せいぜい楽しみだ! 夜になれば濁酒ぐらいは飲ませてやるからな! 仕事が上手かったらな!」
侍はそういうと一同を小屋の中に案内した。そこには言われるようにそれなりの食事が用意されていた。
「おい、お前ら! とりあえずなあ、ここでこれからやることは他でしゃべるじゃないぞ! ちなみに終わったら報酬としてここで作った天保銭を一貫目くれてやる! それに飯は良いモノ食わせてやるから、せいぜい励め!」
侍は偉そうに言った。みんなここから出て行きたかったが、普通に考えたら無理だった。ここはどこなのか分からないし、近くの村までどれくらい離れているのか分からないし方角も分からない。ここから脱出しても無事にたどり着くとは思えなかった。それに徒党を組んでいくのも難しかった。空気からしてわかった。ここに集められた者は全て悪人だから。
「そうそう、これから飯を食わしてやる! せいぜい楽しみだ! 夜になれば濁酒ぐらいは飲ませてやるからな! 仕事が上手かったらな!」
侍はそういうと一同を小屋の中に案内した。そこには言われるようにそれなりの食事が用意されていた。
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