侍女として仕えている主人がこのままでは悪役令嬢として追放されるのでなんとかしてみることにします！

キャロル侍女になる

５・変えられない！

　キャロルはこの後のことが分かっていた。アンネローゼ付きに配置換えになることに。あの時は、給金も上がるし嬉しかったが、いまとなっては恐ろしかった。こんなことなら、努力して頑張って抜擢されるようなことをしなければよかったと後悔していた。これから起きる事に後悔するなんてどうなっているんだろうか、自分は・・・キャロルは自己嫌悪に襲われていた、

　そのとき仕えていたのはローゼンブルグ伯爵ルドルフの邸宅であったが、この日から正式にアンネローゼ担当になると決まっていた。この日は正式な辞令が与えられるので、その時おかしなことをしてクビになればいいんだと思った。だから、わざとメイド服をだらしなく着こなした。

　ルドルフの執務室に入るとメイド長のエリスが青ざめる顔をしていた。そりゃ、入ったばっかりのメイドがだらしない着こなしで主人の前に現れたんだから。恐ろしい事態も想像しやすいというわけだ。これでクビになれるとキャロルは思ったが甘かった。なぜかルドルフは目が悪いのに眼鏡をしていなかった。

　「今日からうちの娘のアンネローゼを担当してもらう。まあ、そうだな・・・悪いがお前の姿がよく見えないんだ。なんかおかしいようだけど、はっきり見えないからいいや！　とにかく頑張り給え！　以上！」

　本当に主人は自分の娘につけるメイドの姿がみえないまま。任命してしまった。あえなくキャロルの抵抗は不発に終わった。