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第二章 聖女フランチェスカの受難

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 魂移しは、身体を乗っ取る術である。その方法には様々なものがあるとされており、生皮をはいで被るものや、魂を入れ替えるというものまである。いづれも異界の者たちが侵略行為の一環としてやるとされている。

 聖女の場合は強い護符がかけられているので、余程強い相手でなければ危険はないが、一般人や魔力の強くない騎士などは、姿を奪われる可能性がある。副騎士団長のマジャールは、武勲で出世してきたものの、魔力は一般人レベルで智力は並みの軍人なみなので、姿を奪われた可能性はあった。あの激戦の中で多くの部下は戦死もしくは行方不明なのに彼だけが助かっているのは不自然だった。

 「フランチェスカ様がいわれるとおりだろしても、それを確認する手段はありませんよ。浄化の聖女の誰かじゃないと正確にでませんわ」

 「そうね、証明できないわね。しかし放置もできないわ、せめて異界の者たちが今回出現した理由が分かれば対処できるかもしれないけど」

 フランチェスカは直観的に今回の異界の者たちの目的は征服ではないかと感じていた。これほど大規模に異界の門が出現させるからには、大きな目的があるはずだった。征服するとすれば、この世界の人間の誰かを征服者として操るかもしれなかった。

 「そうですね、南部に派遣されている聖女セレンティー様と合流すればはっきりできるでしょうね」

 この東部に派遣されていた聖女は4人であったが、他の三人はその時既に敵の手に落ちていることを二人はまだ知らなかった。
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