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一章・二人暮らしの意味
幽霊と帰国
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美齢は可愛らしさと強さを兼ね備えた少女だった。だが不幸にして死を迎えたはずだった。しかしこの世に残した使命を果たすためにこの世に再び召喚された。誰かの親族以外の肉体に憑依しなければ遠くに移動できないため、日本に帰国する慎司を「夫」にしたわけだ。そこには慎司の都合などお構いなかった。
彼女を隣にして飛行機に座った慎司は注目の的だった。隣に美少女がいたからだ。二人があまりにも不釣り合いだった。簡単に言えば「姫様と下級召使」のようだ。そんな二人が別れたのは日本に到着後に入国手続きであった。巨大な空港で別々のブースに並ぶしかなかったからだ。
ふっと、慎司は出来心でそのまま帰るつもりになった。待ち合わせをしていなかったからだ。そういえば彼女と約束するのを忘れていた。このまま別れてもいいだろうと考えたわけだ。
それで急いで空港リムジンバスのチケットカウンターに行った。「結婚」したとはいえ、相手は幽霊。追いかけてこないと思ったが考えは甘かった。いつのまにか隣に彼女がいた。
「わたしが払うわよ」
「いつのまに?」
「あなたの身体にわたしの霊魂があるから実体化なんてすぐ出来るわよ。だから、いつもあなたと一緒よ!」
「そうなのか・・・それにしても、ついて来ても大丈夫なのか? いきなり出現したら誰かに気付かれないのか?」
「それは大丈夫! 周囲の人に気付かれないようにあなたの周りには結界があるのよ。普通レベルの霊能力なら気付かれないわ」
「そ、そうかあ」
「そうそう、あなたに協力してもらうから、いろいろ便宜をはかるわね。これからあなたの家に一緒にいくわ」
「ちょっとまて! うちには両親と妹が!」
「それは大丈夫よ、まかせなさい! 」
なにが大丈夫なのか不安でしかない慎司であった。
彼女を隣にして飛行機に座った慎司は注目の的だった。隣に美少女がいたからだ。二人があまりにも不釣り合いだった。簡単に言えば「姫様と下級召使」のようだ。そんな二人が別れたのは日本に到着後に入国手続きであった。巨大な空港で別々のブースに並ぶしかなかったからだ。
ふっと、慎司は出来心でそのまま帰るつもりになった。待ち合わせをしていなかったからだ。そういえば彼女と約束するのを忘れていた。このまま別れてもいいだろうと考えたわけだ。
それで急いで空港リムジンバスのチケットカウンターに行った。「結婚」したとはいえ、相手は幽霊。追いかけてこないと思ったが考えは甘かった。いつのまにか隣に彼女がいた。
「わたしが払うわよ」
「いつのまに?」
「あなたの身体にわたしの霊魂があるから実体化なんてすぐ出来るわよ。だから、いつもあなたと一緒よ!」
「そうなのか・・・それにしても、ついて来ても大丈夫なのか? いきなり出現したら誰かに気付かれないのか?」
「それは大丈夫! 周囲の人に気付かれないようにあなたの周りには結界があるのよ。普通レベルの霊能力なら気付かれないわ」
「そ、そうかあ」
「そうそう、あなたに協力してもらうから、いろいろ便宜をはかるわね。これからあなたの家に一緒にいくわ」
「ちょっとまて! うちには両親と妹が!」
「それは大丈夫よ、まかせなさい! 」
なにが大丈夫なのか不安でしかない慎司であった。
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