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序章・メイコンな彼女
幽霊?
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劉美齢、それが彼女の名前だった。黒く長い髪、大きな瞳、そして均整がとれた顔立ちに、鍛えられているが女性らしいメリハリがあるボディライン。それらは全て完璧であった。ただ、この世の者でないという点をのぞけばであるが。
「ちょっと待ってくれいないか? 君って死んだはずではないのか? それじゃあ幽霊なのか?」
慎司は嬉しいよりも驚きの方が上回っていた。死んだと聞かされていたはずなのに、目の前に自分と結婚した娘がいるのだから。
「うん、そうよ。フツーにいえば幽霊になるわね」
そういうと美齢は一気に缶ビールを飲み干していた。
「幽霊っていったって、足があるじゃないの!」
そういって美齢の足を触ろうとしたら突き抜けてしまった感覚があった。
「足? そういえば日本じゃ幽霊って足がないって言うそうだってね。でも、ここでは足があるし、わたしって特別な魂なのよ! なんだって五千年も生と死を繰り返してきたからね」
そういって、美齢は顔を慎司の目の前に摺り寄せてきた。彼女は美人だと感じたけど、幽霊ならばタナトスなんだよなという事を感じていた慎司の身体は震えていた。
「ご、五千年ですか・・・つまりは転生してきたわけってことなの? 本当にそんなことが?」
美齢の瞳は深い闇のように感じていた。それにしても幽霊なのになぜビールが飲めたんだろうかという事を考えていたが、慎司はなにをまずしないといけないかが、分からなかった。大抵の人間なら逃げるという選択肢があるはずだが、ここは異国。逃げ出しても行くところもないし、理由を言ったところで頭がおかしくなった日本人、という扱いをされるのが目に見えていた。
「そうよ! あるのよ! それにしても聞いてくれる? 私が死んだ理由を!」
美齢はそういって髪をかき上げていた。そういえば美齢が死んだ経緯をなにも聞いていなかった。
「ちょっと待ってくれいないか? 君って死んだはずではないのか? それじゃあ幽霊なのか?」
慎司は嬉しいよりも驚きの方が上回っていた。死んだと聞かされていたはずなのに、目の前に自分と結婚した娘がいるのだから。
「うん、そうよ。フツーにいえば幽霊になるわね」
そういうと美齢は一気に缶ビールを飲み干していた。
「幽霊っていったって、足があるじゃないの!」
そういって美齢の足を触ろうとしたら突き抜けてしまった感覚があった。
「足? そういえば日本じゃ幽霊って足がないって言うそうだってね。でも、ここでは足があるし、わたしって特別な魂なのよ! なんだって五千年も生と死を繰り返してきたからね」
そういって、美齢は顔を慎司の目の前に摺り寄せてきた。彼女は美人だと感じたけど、幽霊ならばタナトスなんだよなという事を感じていた慎司の身体は震えていた。
「ご、五千年ですか・・・つまりは転生してきたわけってことなの? 本当にそんなことが?」
美齢の瞳は深い闇のように感じていた。それにしても幽霊なのになぜビールが飲めたんだろうかという事を考えていたが、慎司はなにをまずしないといけないかが、分からなかった。大抵の人間なら逃げるという選択肢があるはずだが、ここは異国。逃げ出しても行くところもないし、理由を言ったところで頭がおかしくなった日本人、という扱いをされるのが目に見えていた。
「そうよ! あるのよ! それにしても聞いてくれる? 私が死んだ理由を!」
美齢はそういって髪をかき上げていた。そういえば美齢が死んだ経緯をなにも聞いていなかった。
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