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(5)人形娘教育
049.仮想フィールド
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大桃所長はその場に居なかったが、アンナと人形娘七号と十三号は、ナオミとリエの頭部にある電脳指しこみ口に電極を差し込み、身体を宙釣りになるように拘束具に固定していった。人形娘は例外なく電脳化措置を受けているので、これで直接情報の送受信が可能になるわけだ。そう人形娘の思考は簡単にコントロールできるわけだ。
ナオミはあまりの事に驚いたが、電脳へのメッセージに寄ればこれから特殊な状況下におけるシュミレーションを行うという事だったので一安心した。でもそう安心できるのも電脳化措置を受けた際にダウンロードされた思考プログラムによる統制の賜物であったとは認識することはなかった。
この時、人形娘七号と十三号の姿を見ると、二人ともどこかの女子校生のようなセーラー服を着て、同じような顔をしていたので、どこかの高校からきた職場実習生のような感じだったので、アンリと比べて人間らしかった。アンリは全身を金属のような輝きを持った外骨格に覆われ、ロボットのようだったからだ。しかし頭部の電脳化を除けば人間の身体であったが、人形娘七号と十三号の身体は完全に作られたものであった。
「二体」とも、病死や事故死した少女の遺体から使える骨格や筋肉、神経をナノマシーンで人形娘の部品に加工したものであった。だから厳密に言うと人間由来の有機物で加工して作られたガイノイドと言った方が実態に近かった。
そのため元人間の少女の脳髄を使っていても、人間らしさは全く残っていなかった。電脳にあるプログラムはある程度自律した行動が出来る程度の能力しかなかった。だから自我といったパーソナルプログラムは存在せず研究所のメインコンピューターに統制された操り人形にすぎなかった。
「七号はナオミのモニターを、十三号はリエのモニターをお願い。私はプログラムを監視します。今回の昨日テストはバーチャルなものですが、人形娘であっても身体的な衝撃といった反応はフィードバックしますので、現実と同じく慎重に対処してください。それと万が一危険と判断したら中止します」
アンナの開始という合図で、ナオミとリエの意識はシュミレーション・システムと直結し、あらかじめ設定されたプログラミングの海へと送り込まれていった。
ナオミが目を覚ますと、周囲の風景がどこか懐かしい田舎の農村みたいになっていた。そこは里山で昔父に連れてこられたことのあるような記憶があった。
取りあえず自分の顔をさすってみると、人形娘のフェイスマスクであった。月並みであるが顔をひねってみようと思ったが、掴む事は出来ず接触があったというメッセージだけが電脳に送り込まれていた。そして自分の身体を見ると、スケベな父が好きそうなコスチュームに変わっていた。
「やだ! なんでビキニアーマーになっているのよ! しかも人形娘のままで! これから何をしなさいというのよ!」
そういってナオミがオドオドした素振りをしていると後ろからリエの声が聞こえてきた。そちらを振り返ると彼女もデザインは違うがビキニアーマーを着用していたが、やはり幼さが残るような体つきのせいか、ミニスカートのようなものが付属しており、やや露出度が低かった。
「ナオミ! ここは人形娘の戦闘力を推し量るバーチャルソフトのひとつですわ。これから、この村を抜けて町にいくのですが、途中でモンスターや盗賊が襲いますわ。それらを撃退しながら行きますが、気をつけてくださいわ。受けたダメージは人形娘にフィードバックしますので痛い思いをしますわ」
「リエ、それじゃプレイしなければいけない訳ね? そしたらやられてゲームオーバーになったらどうなるのよ?」
「その時には、修理してもらわないといけませんわ。実は私もゲームオーバーになった事があって、痛みで苦しんだ事がありますわ。そうならないように、頑張りましょうわ」
それにしてもビキニアーマーとはおそらく父で所長の大桃秀夫の趣味に間違いなかった。彼は女ターザンが出てくるアメリカンコミックが好きだったし、1980年代に流行したビデオゲームのキャラクターでそんなコスチュームを着たのも好きだった事を思い出した。
「あのエロ親父、娘を人形にしたと思ったら次はエロいコスチュームを着せたわけか。いま人形だから自分で抵抗する術はないけど着せ替え人形ってことか? 本当に次に会ったときは愚痴でもいったろうか? できないのが残念だけどね」
ナオミは心の中でそう思ったが、いまは人形娘なので『人間』ではない。だから抵抗したり反抗したりする事はプログラムにより禁じられている。せいぜい思っているぐらいしか許されなかった。
ナオミはあまりの事に驚いたが、電脳へのメッセージに寄ればこれから特殊な状況下におけるシュミレーションを行うという事だったので一安心した。でもそう安心できるのも電脳化措置を受けた際にダウンロードされた思考プログラムによる統制の賜物であったとは認識することはなかった。
この時、人形娘七号と十三号の姿を見ると、二人ともどこかの女子校生のようなセーラー服を着て、同じような顔をしていたので、どこかの高校からきた職場実習生のような感じだったので、アンリと比べて人間らしかった。アンリは全身を金属のような輝きを持った外骨格に覆われ、ロボットのようだったからだ。しかし頭部の電脳化を除けば人間の身体であったが、人形娘七号と十三号の身体は完全に作られたものであった。
「二体」とも、病死や事故死した少女の遺体から使える骨格や筋肉、神経をナノマシーンで人形娘の部品に加工したものであった。だから厳密に言うと人間由来の有機物で加工して作られたガイノイドと言った方が実態に近かった。
そのため元人間の少女の脳髄を使っていても、人間らしさは全く残っていなかった。電脳にあるプログラムはある程度自律した行動が出来る程度の能力しかなかった。だから自我といったパーソナルプログラムは存在せず研究所のメインコンピューターに統制された操り人形にすぎなかった。
「七号はナオミのモニターを、十三号はリエのモニターをお願い。私はプログラムを監視します。今回の昨日テストはバーチャルなものですが、人形娘であっても身体的な衝撃といった反応はフィードバックしますので、現実と同じく慎重に対処してください。それと万が一危険と判断したら中止します」
アンナの開始という合図で、ナオミとリエの意識はシュミレーション・システムと直結し、あらかじめ設定されたプログラミングの海へと送り込まれていった。
ナオミが目を覚ますと、周囲の風景がどこか懐かしい田舎の農村みたいになっていた。そこは里山で昔父に連れてこられたことのあるような記憶があった。
取りあえず自分の顔をさすってみると、人形娘のフェイスマスクであった。月並みであるが顔をひねってみようと思ったが、掴む事は出来ず接触があったというメッセージだけが電脳に送り込まれていた。そして自分の身体を見ると、スケベな父が好きそうなコスチュームに変わっていた。
「やだ! なんでビキニアーマーになっているのよ! しかも人形娘のままで! これから何をしなさいというのよ!」
そういってナオミがオドオドした素振りをしていると後ろからリエの声が聞こえてきた。そちらを振り返ると彼女もデザインは違うがビキニアーマーを着用していたが、やはり幼さが残るような体つきのせいか、ミニスカートのようなものが付属しており、やや露出度が低かった。
「ナオミ! ここは人形娘の戦闘力を推し量るバーチャルソフトのひとつですわ。これから、この村を抜けて町にいくのですが、途中でモンスターや盗賊が襲いますわ。それらを撃退しながら行きますが、気をつけてくださいわ。受けたダメージは人形娘にフィードバックしますので痛い思いをしますわ」
「リエ、それじゃプレイしなければいけない訳ね? そしたらやられてゲームオーバーになったらどうなるのよ?」
「その時には、修理してもらわないといけませんわ。実は私もゲームオーバーになった事があって、痛みで苦しんだ事がありますわ。そうならないように、頑張りましょうわ」
それにしてもビキニアーマーとはおそらく父で所長の大桃秀夫の趣味に間違いなかった。彼は女ターザンが出てくるアメリカンコミックが好きだったし、1980年代に流行したビデオゲームのキャラクターでそんなコスチュームを着たのも好きだった事を思い出した。
「あのエロ親父、娘を人形にしたと思ったら次はエロいコスチュームを着せたわけか。いま人形だから自分で抵抗する術はないけど着せ替え人形ってことか? 本当に次に会ったときは愚痴でもいったろうか? できないのが残念だけどね」
ナオミは心の中でそう思ったが、いまは人形娘なので『人間』ではない。だから抵抗したり反抗したりする事はプログラムにより禁じられている。せいぜい思っているぐらいしか許されなかった。
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