48 / 75
(5)人形娘教育
048.機能試験
しおりを挟む 人形娘は文字どうり人形の外観をしている。その外観は着ぐるみと変わらず可愛らしい姿をしている。ただ着ぐるみと違うのは、着ぐるみは人間が衣装を纏っているようなものなので、脱ぐ事ができる、だから”中の人”は別の存在である。
しかし人形娘は外観を構成する表皮と”中の人”は完全に融合させられているので、特別な方法を使わない限り物理的に引き離すのは不可能である。いわば”中の人”は人形娘に幽閉された囚人と一緒だった。
「ナオミ、今日はあなたの人形娘としての機能をテストさせてもらいます。プログラムですが先ほどあなたの電脳にダウンロードしましたので、指示の様にしてください。リエも比較のため同じテストを受けてください」
アンナは指示についてしゃべっていたが、彼女の顔面にあるスクリーンにも同じ事が表示されていた。ナオミはなんかテレビモニターが顔に張り付いているかのように見えたのでおかしくってたまらなかったが、いまは人形娘の統括システムが自我に優先して活動しているので、噴出すような事はしなかった。もっとも顔の表情は固定されているので、できるはずもなかった。
人形娘にされた者は電脳化されているので、シュミレーションは可能であるが、実際に人形娘の身体を使った機能テストも必要であった。今日はメイドなのでナオミは料理を作る事になった、この研究所で”人間”なのは男性のみで、この日は大桃所長しかいなかった。
「なによ! それじゃ昨日の朝までのあたしと同じじゃないの! 父さ・・じゃなかった所長の好物を作ればいいじゃないのよ」
ナオミはそう思いながら大桃秀夫の好きなマカロニグラタンなどを作り出した。この時、人形娘になったことを実感した。物凄くテキパキと出来るのだ。人間のときはテレビやマンガを見たりしながら、料理をするサボリ癖があったので、なかなか前に進まない時があった。秀夫からはお前はだらしないなといわれたこともあった。
そうこうしているうちに、あっという間に料理が出来たが、大変な事に気付いた。味見が出来ないのだ。あたりまえだがナオミの口内は特殊な物質で覆われ舌が使えないし、口は開けられなかった。言葉だけは人形娘の管制システムが脳波を読み取って発声していたが、ナオミの声帯は使えないようになっていた。
そう思っていると、ナオミの電脳に様々な情報が流入してた。これは味の情報だった。どうも人形娘のセンサーである程度の事は判るので、ナオミの人間だった時の経験から出来がいいかまずいかの判断がつくようだった。それで、これは食べさせても大丈夫だという事にした。
そのころ、秀夫はモニターでこの様子を観察していた。上手く奈緒美の経験とナオミのシステムが連携できている事を確認した。
「取りあえず合格だなナオミ。次はお前の戦闘モードにしてみて調べてやるぞ! 次は鬼畜系になるけど勘弁せえ! 」
そういうと、次にナオミにやらせるプログラミングの設定をオペレーターにやらせ始めた。そのオペレーターは人形娘七号と十三号だった。
人形娘七号と十三号は初期の試作機で、自我を殆どもっていないので機械と変わらなかった。昨日、ナオミの着替えさせた人形娘より技術的に進化していたが、事故や病気で瀕死の女性を改造したので、自我を人形娘の電脳にインストールできなかったのだ。
当時はナノマシーンによる記憶の変換に問題があったので、大桃所長が意図したような『人間の少女を人形に改造する』事は出来ても、人間としての記憶の大部分を失ってしまった。
「人間のままの記憶を持ったまま人形娘になるのと、以前自分が何者かわからなくなった人形娘ではどっちが幸福なんだろうか? 」
そんなことを大桃所長が考える事もあったが、それは偽善といえた。少女を人形にする研究そのものが悪魔の所業といえるからだ。
しかし人形娘は外観を構成する表皮と”中の人”は完全に融合させられているので、特別な方法を使わない限り物理的に引き離すのは不可能である。いわば”中の人”は人形娘に幽閉された囚人と一緒だった。
「ナオミ、今日はあなたの人形娘としての機能をテストさせてもらいます。プログラムですが先ほどあなたの電脳にダウンロードしましたので、指示の様にしてください。リエも比較のため同じテストを受けてください」
アンナは指示についてしゃべっていたが、彼女の顔面にあるスクリーンにも同じ事が表示されていた。ナオミはなんかテレビモニターが顔に張り付いているかのように見えたのでおかしくってたまらなかったが、いまは人形娘の統括システムが自我に優先して活動しているので、噴出すような事はしなかった。もっとも顔の表情は固定されているので、できるはずもなかった。
人形娘にされた者は電脳化されているので、シュミレーションは可能であるが、実際に人形娘の身体を使った機能テストも必要であった。今日はメイドなのでナオミは料理を作る事になった、この研究所で”人間”なのは男性のみで、この日は大桃所長しかいなかった。
「なによ! それじゃ昨日の朝までのあたしと同じじゃないの! 父さ・・じゃなかった所長の好物を作ればいいじゃないのよ」
ナオミはそう思いながら大桃秀夫の好きなマカロニグラタンなどを作り出した。この時、人形娘になったことを実感した。物凄くテキパキと出来るのだ。人間のときはテレビやマンガを見たりしながら、料理をするサボリ癖があったので、なかなか前に進まない時があった。秀夫からはお前はだらしないなといわれたこともあった。
そうこうしているうちに、あっという間に料理が出来たが、大変な事に気付いた。味見が出来ないのだ。あたりまえだがナオミの口内は特殊な物質で覆われ舌が使えないし、口は開けられなかった。言葉だけは人形娘の管制システムが脳波を読み取って発声していたが、ナオミの声帯は使えないようになっていた。
そう思っていると、ナオミの電脳に様々な情報が流入してた。これは味の情報だった。どうも人形娘のセンサーである程度の事は判るので、ナオミの人間だった時の経験から出来がいいかまずいかの判断がつくようだった。それで、これは食べさせても大丈夫だという事にした。
そのころ、秀夫はモニターでこの様子を観察していた。上手く奈緒美の経験とナオミのシステムが連携できている事を確認した。
「取りあえず合格だなナオミ。次はお前の戦闘モードにしてみて調べてやるぞ! 次は鬼畜系になるけど勘弁せえ! 」
そういうと、次にナオミにやらせるプログラミングの設定をオペレーターにやらせ始めた。そのオペレーターは人形娘七号と十三号だった。
人形娘七号と十三号は初期の試作機で、自我を殆どもっていないので機械と変わらなかった。昨日、ナオミの着替えさせた人形娘より技術的に進化していたが、事故や病気で瀕死の女性を改造したので、自我を人形娘の電脳にインストールできなかったのだ。
当時はナノマシーンによる記憶の変換に問題があったので、大桃所長が意図したような『人間の少女を人形に改造する』事は出来ても、人間としての記憶の大部分を失ってしまった。
「人間のままの記憶を持ったまま人形娘になるのと、以前自分が何者かわからなくなった人形娘ではどっちが幸福なんだろうか? 」
そんなことを大桃所長が考える事もあったが、それは偽善といえた。少女を人形にする研究そのものが悪魔の所業といえるからだ。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説

AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。
転校先は着ぐるみ美少女学級? 楽しい全寮制高校生活ダイアリー
ジャン・幸田
キャラ文芸
いじめられ引きこもりになっていた高校生・安野徹治。誰かよくわからない教育カウンセラーの勧めで全寮制の高校に転校した。しかし、そこの生徒はみんなコスプレをしていた?
徹治は卒業まで一般生徒でいられるのか? それにしてもなんで普通のかっこうしないのだろう、みんな!


人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?

人形娘沙羅・いま遊園地勤務してます!
ジャン・幸田
ファンタジー
派遣社員をしていた沙羅は契約打ち切りに合い失業してしまった。次の仕事までのつなぎのつもりで、友人の紹介でとある派遣会社にいったら、いきなり人形の”中の人”にされたしまった!
遊園地で働く事になったが、中の人なのでまったく自分の思うどおりに出来なくなった沙羅の驚異に満ちた遊園地勤務が始る!
その人形は生身の人間をコントロールして稼動する機能があり文字通り”中の人”として強制的に働かされてしまうことになった。
*小説家になろうで『代わりに着ぐるみバイトに行ったら人形娘の姿に閉じ込められた』として投降している作品のリテイクです。思いつきで書いていたので遊園地のエピソードを丁寧にやっていくつもりです。

機械娘の機ぐるみを着せないで!
ジャン・幸田
青春
二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!
そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。
転校してきてクラスメイトになったのが着ぐるみ美少女だった件について
ジャン・幸田
恋愛
転校生は着ぐるみ美少女? 新しいクラスメイト・雛乃は着ぐるみ美少女のマスクを被り一切しゃべることがなかった!
そんな彼女に恋をした新荘剛の恋の行方は? そもそも彼女は男それとも人間なのか? 謎は深まるばかり!
*奇数章では剛の、偶数章では雛乃の心情を描写していきます。
*着ぐるみは苦手という方は閲覧を回避してください。予定では原稿用紙150枚程度の中編になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる