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(4)再会
044.人形娘としての目覚め
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高校を卒業し引きこもりになった少女、大桃奈緒美にとって朝は憂鬱で退屈な一日の始まりだった。クリスマスの夜に好意を寄せていた彼氏にレイプされそうになって、対人恐怖症になった彼女は、外に出るのが恐ろしかったからだ。
朝が来たら父と自分の朝食を作り、父が研究所に行った後は広くもない家の掃除や洗濯をして、時間が空けばラジオを聴きながらライトノベルを読み、たまに出かけても近所のスーパーで、ご近所さんとは話もせずそのまま家に帰り、父が晩に戻ってくるまで待ち続ける・・・
引きこもりになったためとはいえ、大して好きでもない父のために尽くす日々は本当に厭き厭きしていた。そう、あの日までは。
「ナオミちゃん、おはよう! 今日から人形娘のレクチャーを始めますよ」
ナオミは人形娘として始めて朝を迎えた。電脳に内蔵されている時刻を確認すると午前六時だった。この時間はいつも目覚めていたのと同じだった。
「衣里ちゃん、おはよう。でも、いつのまにかパジャマに着替えたのかな私? たしかあなたとエッチな事をしていたのよね。いつのまにか綺麗になっているし、部屋もね」
二人がいる22号室は、昨夜のうちに改装されたかのようになっていた。少なくとも若い女の子が生活するような部屋になっていた。衣里がクローゼットを開けると、ビニールがかけられた新品の衣装がぶら下げられていた。
「今日からね、人形娘として必要なレクチャーを受けるから、この衣装に着替えてね。まあコテコテのように感じるかもしれないけど、二人で頑張ろうね」
そういって衣里から渡された衣装を見ると、なんとメイド服だった! しかも漫画で見たことあるようなフリフリな装飾がついたものだった。
「これって、父さ・・・いや所長の趣味なの? たしかにエロ親父だと思っていたけど、娘を人形に改造したら着せ替え人形というわけなの? 」
そいいってナオミは嫌な顔をしようとしたが、今は人形なので表情が変わらない事に気が付いた。なので思わず苦笑したが、声で感情を表現できても、顔は当然変わらなかった。
「な、なんか人形娘って不便だね。感情を表現できないし」
「でも、いい事あるわよ。嫌な顔をして相手を不愉快にすることもないし、隠し事がしやすいよ。そういえば気が付かないかなナオミちゃん? あなた、昨日までと違って気持ちが明るくないかな? 私たち人形娘は前向きに考えるように精神改造を受けているからなのよ。だから少々辛い事があっても頑張れるわよ。だから身体は人間の姿を失っても、人形娘として生きていけるのよ!」
確かに、こんなにすがすがしい朝を迎えたのは前がいつだったが忘れたが、相当前だったような気がする。だから人形娘になったのも悪くはないと思った。
「さあ、メイド服に着替えましょ! 」
朝が来たら父と自分の朝食を作り、父が研究所に行った後は広くもない家の掃除や洗濯をして、時間が空けばラジオを聴きながらライトノベルを読み、たまに出かけても近所のスーパーで、ご近所さんとは話もせずそのまま家に帰り、父が晩に戻ってくるまで待ち続ける・・・
引きこもりになったためとはいえ、大して好きでもない父のために尽くす日々は本当に厭き厭きしていた。そう、あの日までは。
「ナオミちゃん、おはよう! 今日から人形娘のレクチャーを始めますよ」
ナオミは人形娘として始めて朝を迎えた。電脳に内蔵されている時刻を確認すると午前六時だった。この時間はいつも目覚めていたのと同じだった。
「衣里ちゃん、おはよう。でも、いつのまにかパジャマに着替えたのかな私? たしかあなたとエッチな事をしていたのよね。いつのまにか綺麗になっているし、部屋もね」
二人がいる22号室は、昨夜のうちに改装されたかのようになっていた。少なくとも若い女の子が生活するような部屋になっていた。衣里がクローゼットを開けると、ビニールがかけられた新品の衣装がぶら下げられていた。
「今日からね、人形娘として必要なレクチャーを受けるから、この衣装に着替えてね。まあコテコテのように感じるかもしれないけど、二人で頑張ろうね」
そういって衣里から渡された衣装を見ると、なんとメイド服だった! しかも漫画で見たことあるようなフリフリな装飾がついたものだった。
「これって、父さ・・・いや所長の趣味なの? たしかにエロ親父だと思っていたけど、娘を人形に改造したら着せ替え人形というわけなの? 」
そいいってナオミは嫌な顔をしようとしたが、今は人形なので表情が変わらない事に気が付いた。なので思わず苦笑したが、声で感情を表現できても、顔は当然変わらなかった。
「な、なんか人形娘って不便だね。感情を表現できないし」
「でも、いい事あるわよ。嫌な顔をして相手を不愉快にすることもないし、隠し事がしやすいよ。そういえば気が付かないかなナオミちゃん? あなた、昨日までと違って気持ちが明るくないかな? 私たち人形娘は前向きに考えるように精神改造を受けているからなのよ。だから少々辛い事があっても頑張れるわよ。だから身体は人間の姿を失っても、人形娘として生きていけるのよ!」
確かに、こんなにすがすがしい朝を迎えたのは前がいつだったが忘れたが、相当前だったような気がする。だから人形娘になったのも悪くはないと思った。
「さあ、メイド服に着替えましょ! 」
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