4 / 75
(0)引きこもり少女
004.父親は一体なにを?
しおりを挟む
父の大桃秀夫はおかしな人だった。こんな辺鄙なところに研究所を構えていたけど、いったい何を研究しているのか具体的に教えてもらったことはなかった。
ただ大学の推薦入試の時に両親の事を聞かれるかもしれないからといったら、高性能パワードスーツの内部機構を研究しているといわれた。でも、よくわからない事には変わりなかった。
わたしは白い部屋で何分いたのか分からなかったけど、暇なので父の事を考えていた。父はどこにでもいるような中年オヤジだった。頭髪は薄く禿げかかっていて、お腹が出ていた。顔つきは・・・わたしとあまり似ていなかった。ひいていえば外見だけは真面目そうだった。それはうわべだけだった。だって下ネタが好きだったからだ!
世間の相場は知らないけどエッチな事ばかりいっているような人であった。だからドスケベな話題をふってくるので、娘のわたしはいつも悩んでいた。だって、他の同級生にこんな父の事をいっていいはずはない、恥ずかしいからだ!
また母は最近失踪(父は事情を知っているようだけど教えてくれない)してしまったけど、それは父に愛想を尽かしてしまったからだとの思っていた。
まあ、娘のわたしが引きこもりになったのも原因かもしれないので、強く責められないけど、おかげで家の事ばかりしなければいけなくなった。暇つぶしには丁度よかったけど。
しばらくすると、ノックされ父の声が聞こえてきて、ようやく私は解放された。父が迎えに来てくれたのだ。しかし異様な事があった。私が中から出ると、いつの間にはそこは自宅の地下室だった。
「奈緒美! お前にガレージに近づくなと言っていなかったかよ? あそこは時々地下に資材を箱に入れてもらうための施設があるといっていただろ! 父さんは困ったんだ、本当に」
父はそういったけど、そんなに入ってほしくなかったら家の敷地と同じようにフェンスで囲めばいいのにと思った。
「困ったって、さっきの人形みたいな人たちに? いったい、あの人たちはなんなのよ!」わたしは少し切れ気味に言ってしまった。
「あれかあ・・・ついに見られたんだな。迂闊だなあいつらも。いくら侵入者といっても見せなくてもいいのにさあ。まあ、いままで侵入者はそのままで返すなといったから仕方ないか」
そういうと父はそのまま地下室から上にわたしを連れて行った。
わたしの家は平屋であまり大きな家でなかった。昔の農家を改築したような建物で築年数が不明という代物だった。だから痛みが目立っているので、子供のころから友達を連れてきたことはなかった。
もっとも、この家に入るには二重になったフェンスのゲートをくぐらないといけなかったので、同級生から収容所みたいなどといわれていた。
取りあえずわたしは父にお茶を入れてあげた、すると父はとんでもないことを言い始めた。
「奈緒美。お前、今の自分ではない存在になってもらえないかな?」
ただ大学の推薦入試の時に両親の事を聞かれるかもしれないからといったら、高性能パワードスーツの内部機構を研究しているといわれた。でも、よくわからない事には変わりなかった。
わたしは白い部屋で何分いたのか分からなかったけど、暇なので父の事を考えていた。父はどこにでもいるような中年オヤジだった。頭髪は薄く禿げかかっていて、お腹が出ていた。顔つきは・・・わたしとあまり似ていなかった。ひいていえば外見だけは真面目そうだった。それはうわべだけだった。だって下ネタが好きだったからだ!
世間の相場は知らないけどエッチな事ばかりいっているような人であった。だからドスケベな話題をふってくるので、娘のわたしはいつも悩んでいた。だって、他の同級生にこんな父の事をいっていいはずはない、恥ずかしいからだ!
また母は最近失踪(父は事情を知っているようだけど教えてくれない)してしまったけど、それは父に愛想を尽かしてしまったからだとの思っていた。
まあ、娘のわたしが引きこもりになったのも原因かもしれないので、強く責められないけど、おかげで家の事ばかりしなければいけなくなった。暇つぶしには丁度よかったけど。
しばらくすると、ノックされ父の声が聞こえてきて、ようやく私は解放された。父が迎えに来てくれたのだ。しかし異様な事があった。私が中から出ると、いつの間にはそこは自宅の地下室だった。
「奈緒美! お前にガレージに近づくなと言っていなかったかよ? あそこは時々地下に資材を箱に入れてもらうための施設があるといっていただろ! 父さんは困ったんだ、本当に」
父はそういったけど、そんなに入ってほしくなかったら家の敷地と同じようにフェンスで囲めばいいのにと思った。
「困ったって、さっきの人形みたいな人たちに? いったい、あの人たちはなんなのよ!」わたしは少し切れ気味に言ってしまった。
「あれかあ・・・ついに見られたんだな。迂闊だなあいつらも。いくら侵入者といっても見せなくてもいいのにさあ。まあ、いままで侵入者はそのままで返すなといったから仕方ないか」
そういうと父はそのまま地下室から上にわたしを連れて行った。
わたしの家は平屋であまり大きな家でなかった。昔の農家を改築したような建物で築年数が不明という代物だった。だから痛みが目立っているので、子供のころから友達を連れてきたことはなかった。
もっとも、この家に入るには二重になったフェンスのゲートをくぐらないといけなかったので、同級生から収容所みたいなどといわれていた。
取りあえずわたしは父にお茶を入れてあげた、すると父はとんでもないことを言い始めた。
「奈緒美。お前、今の自分ではない存在になってもらえないかな?」
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説

AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。
転校先は着ぐるみ美少女学級? 楽しい全寮制高校生活ダイアリー
ジャン・幸田
キャラ文芸
いじめられ引きこもりになっていた高校生・安野徹治。誰かよくわからない教育カウンセラーの勧めで全寮制の高校に転校した。しかし、そこの生徒はみんなコスプレをしていた?
徹治は卒業まで一般生徒でいられるのか? それにしてもなんで普通のかっこうしないのだろう、みんな!


人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?

人形娘沙羅・いま遊園地勤務してます!
ジャン・幸田
ファンタジー
派遣社員をしていた沙羅は契約打ち切りに合い失業してしまった。次の仕事までのつなぎのつもりで、友人の紹介でとある派遣会社にいったら、いきなり人形の”中の人”にされたしまった!
遊園地で働く事になったが、中の人なのでまったく自分の思うどおりに出来なくなった沙羅の驚異に満ちた遊園地勤務が始る!
その人形は生身の人間をコントロールして稼動する機能があり文字通り”中の人”として強制的に働かされてしまうことになった。
*小説家になろうで『代わりに着ぐるみバイトに行ったら人形娘の姿に閉じ込められた』として投降している作品のリテイクです。思いつきで書いていたので遊園地のエピソードを丁寧にやっていくつもりです。

機械娘の機ぐるみを着せないで!
ジャン・幸田
青春
二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!
そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。
転校してきてクラスメイトになったのが着ぐるみ美少女だった件について
ジャン・幸田
恋愛
転校生は着ぐるみ美少女? 新しいクラスメイト・雛乃は着ぐるみ美少女のマスクを被り一切しゃべることがなかった!
そんな彼女に恋をした新荘剛の恋の行方は? そもそも彼女は男それとも人間なのか? 謎は深まるばかり!
*奇数章では剛の、偶数章では雛乃の心情を描写していきます。
*着ぐるみは苦手という方は閲覧を回避してください。予定では原稿用紙150枚程度の中編になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる