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(外伝壱)犠牲者たち
064.父への怒り
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夕食、ナオミは父と一緒のテーブルに座っていた。いくら人形としての制御システムが優先しているとはいえ、本当は父を罵倒したかったし、張り倒したかった。それぐらい、ナオミは自分の父の研究内容に憤りを覚えていた。
「奈緒美、色々とすまなかったな。まあ、明日からももっと色んな事をしてもらうが、最終的にはお前のいいようにしてやるからな」と言いながら、父はご飯にふりかけ、缶詰の秋刀魚に何故か自宅から持ってきた大根の漬物、インスタントの味噌汁という粗末な夕食に手をつけていた。
「まあ、お前に食事を作ってもらえないし、人形だからな。まともな食事をする事もできないからな。だからワシはお前が人間に戻るまで粗食で我慢するぞ。だから許してくれ!」
そんな事を言ってはいたが、ナオミはこの偽善者め! と思っていた。人形娘にされてからというものの、多くの人間を人形や機械の身体に改造しているのを目の当たりにしたからだ。
「そうそう、明日からお前はラブドールになってもらうぞ! これもクライアントからの要望でな、人形娘の機能を確認するのに必要だからな! まあ、人形娘になっている間はお前、妊娠する心配ないからな! なんだってワシのただ一人の子供だからなお前は。こうみえても幸せな結婚をしてもらいたいし、ワシみたいな優秀な技術者か科学者を生んで欲しいのだ」
この事を聞いて、本当に身勝手な親父だとナオミは思っていた。人間の時にはそんな事を一語ともいわなかったし、引きこもりになっても何かを言う事をしなかったし、母がいなくなってからは家の家事一切を押し付けていた。考えてみれば、そんな娘を陵辱したうえで人形に改造する父親なんて、こいつしかいない! そう憤慨していたが、いまは一介の人形娘。自分の感情よりも人形として振舞う方が優先されているので、この施設の最高責任者である父に一切意見することはできなかった。
「あ、ゴメンネ。お前人形娘なんだよな。表情を変えて喜怒哀楽を表現できないし、思っていることを一切言えないんだよなあ。ワシの前では。まあ、自由に意見を言えたら今頃、ワシはお前にボコボコにしているのだろうな」
この親父、人いや人形なので言い返すことが出来ないのを知った上で言っていたのかよ! そう怒っていたが、人形娘の製造技術を確立した本人だから当たり前なんだと思っていた。それにしても身体が思う通りに利かないというのは、ナオミという人形娘に大桃奈緒美が閉じ込められているのだなと感じていた。そう、いまは自分の身体であっても人形にされた身体は他者のモノでしかないのだと!
そう考えていると父がナオミに抱きついてきた。昨日のように娘を陵辱するのだと思っていたら、優しく髪の毛をさすっていた。
「すまないな、ナオミ。お前には人形娘としての試練を与えてしまって。まだ方法は確立していないがお前を人間に戻してやるからな」そういって軽くキスしてきた。そこから父にセックスされるのではないかと思ったが、すぐに立ち上がった。
「あーあ。エロ親父もたまには良いことをいうのだね。あっ、私って人間に戻れないという事もありえるというわけなの? それじゃ早く技術を確立してほしいけど、そんあ人間に戻れないかも知れないと判っていて私を人形娘にしたわけなの? 本当に狂っているわ、あの親父!」
ナオミは人形娘にされ、いままで感じていなかった怒りの感情が芽生えていたが、それに抵抗することは出来なかった。
「奈緒美、色々とすまなかったな。まあ、明日からももっと色んな事をしてもらうが、最終的にはお前のいいようにしてやるからな」と言いながら、父はご飯にふりかけ、缶詰の秋刀魚に何故か自宅から持ってきた大根の漬物、インスタントの味噌汁という粗末な夕食に手をつけていた。
「まあ、お前に食事を作ってもらえないし、人形だからな。まともな食事をする事もできないからな。だからワシはお前が人間に戻るまで粗食で我慢するぞ。だから許してくれ!」
そんな事を言ってはいたが、ナオミはこの偽善者め! と思っていた。人形娘にされてからというものの、多くの人間を人形や機械の身体に改造しているのを目の当たりにしたからだ。
「そうそう、明日からお前はラブドールになってもらうぞ! これもクライアントからの要望でな、人形娘の機能を確認するのに必要だからな! まあ、人形娘になっている間はお前、妊娠する心配ないからな! なんだってワシのただ一人の子供だからなお前は。こうみえても幸せな結婚をしてもらいたいし、ワシみたいな優秀な技術者か科学者を生んで欲しいのだ」
この事を聞いて、本当に身勝手な親父だとナオミは思っていた。人間の時にはそんな事を一語ともいわなかったし、引きこもりになっても何かを言う事をしなかったし、母がいなくなってからは家の家事一切を押し付けていた。考えてみれば、そんな娘を陵辱したうえで人形に改造する父親なんて、こいつしかいない! そう憤慨していたが、いまは一介の人形娘。自分の感情よりも人形として振舞う方が優先されているので、この施設の最高責任者である父に一切意見することはできなかった。
「あ、ゴメンネ。お前人形娘なんだよな。表情を変えて喜怒哀楽を表現できないし、思っていることを一切言えないんだよなあ。ワシの前では。まあ、自由に意見を言えたら今頃、ワシはお前にボコボコにしているのだろうな」
この親父、人いや人形なので言い返すことが出来ないのを知った上で言っていたのかよ! そう怒っていたが、人形娘の製造技術を確立した本人だから当たり前なんだと思っていた。それにしても身体が思う通りに利かないというのは、ナオミという人形娘に大桃奈緒美が閉じ込められているのだなと感じていた。そう、いまは自分の身体であっても人形にされた身体は他者のモノでしかないのだと!
そう考えていると父がナオミに抱きついてきた。昨日のように娘を陵辱するのだと思っていたら、優しく髪の毛をさすっていた。
「すまないな、ナオミ。お前には人形娘としての試練を与えてしまって。まだ方法は確立していないがお前を人間に戻してやるからな」そういって軽くキスしてきた。そこから父にセックスされるのではないかと思ったが、すぐに立ち上がった。
「あーあ。エロ親父もたまには良いことをいうのだね。あっ、私って人間に戻れないという事もありえるというわけなの? それじゃ早く技術を確立してほしいけど、そんあ人間に戻れないかも知れないと判っていて私を人形娘にしたわけなの? 本当に狂っているわ、あの親父!」
ナオミは人形娘にされ、いままで感じていなかった怒りの感情が芽生えていたが、それに抵抗することは出来なかった。
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