メタルノイド・シンドローム

ジャン・幸田

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(一)魔女の箒星は突然に

編集者見習い美優(3)

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 美優の子供のときの夢は絵本作家になること、それが駄目なら出版に関わる仕事をしたいというものだった。しかし、絵本作家は才能がなかったし、出版社に入社できるような一流大学にも行けず、また家族に不幸があって家事を手伝わないといけなくなったので、どちらもかなえられずにすごしてきた。

 だから月刊レムリアにアルバイトでも就職することができてよかったが、本当の雑用係だった。その雑用の中でも原稿を峻別するのは出版らしい仕事だった。
 もっとも編集長は原稿をいつも軽く読み飛ばしているといった感じだった。たしかに似たような原稿というか、ドングリの背比べのような原稿だからしかたないとも思っていた。

 そうしたなか、編集長がある一通の原稿を見たときに反応した。それはBランクに美優が評価したものなので意外だった。

「美優君、わるいがこの原稿を書いた先生のところに後日行ってくれないか? この先生に正式のオファーするから」

 「編集長それはどういうことですか」


 「この先生は昔、SF作品でヒットを出したんっだ。最近新作が出ないと思ったらうちに投稿してきたのだ。だから捕まえないといけないからさ」

 「でもなんで私が行くのですか?」

 「この先生若い女性に弱いんだ。でも心配しないでくれ、 オタクだから女に手を出さないから」

 「・・・」
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