終末の機械娘と猫たちと(完結)

ジャン・幸田

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ミャオをよんだモノ

女神像

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 宇宙港の残骸の中へと入っていった。そこが指定されたポイントであったためだ。ミャオはそこで何が待つのであろうか気になるところであったが、最初のうちは、今まででもとそれほど変わらない風景が広がっているだけであった。

 自然の前にただ消えていくだけの人類の文明の残滓、それは嫌と言うほど見てきたものである。それにしても プログラミングに従い数百年から数千年も稼働してきたのか、分からない彼女にとって、旅の終わりがすなわち稼働停止のようにも思えた。

 人間の意識からすれば、殆ど無為といえる長い孤独、いや正確に言えば猫たちとの日々が終わる。それはそれで幸せなのかもしれなかった。これでようやく死ねると思うとミャオはそう考えていた。

 自分の耐用年数というものはよくわからなかったが、データベースによれば5000年から1万年はもつというものであった。もちろんそれはある程度メンテナンスをしての上であったが。そんな満足のメンテナンスだと一度もしたことないので、その寿命はもっと早くに迎えるであろうというのは想像し難いことでなかった。

  でもミャオはそう思っていても、今終わると困るとも思った。なぜか連れてきてしまったアリスを、またあの海辺の世界まで連れて帰らないといけないと気付いたからである。せめてそこに戻るまでは稼働可能であってほしかった。

 しばらくすると、広い吹き抜けのような空間へたどり着いた。そこが指定されたポイントであった。そこは広いドーム上の空間で、その中央にあったのは巨大な女神像であった。

 その姿はかつて人類が理想としていた女性像を具現化したものであるであった。そして彼女はほぼハダカといってもよい姿であった。爛熟を迎えた文明末期の芸術作品にしては少しハレンチのようにも思えたが、その姿をかつての自分の姿であったことを思い出した。ミャオは若い娘だったのだ。

 それにしてもこの姿をしたものが、この地球上から消えてもう何年になることであろうか? もうそれはどうでもいいことであったかもしれなかった。彼女の像の正体とは? データベースを にアクセスしようとしたら、あることが分かった。その像は地球文明最後の時に近づいたとき、人類の希望として作られたものであったようだ。

 でも他の偶像崇拝ではないかそれはでは? 何が希望なんだろうか? それはミャオでは分からなかった、でもそう考えていると、電脳の中にある情報が入ってきた、足元から入れと。

 それって何のことなの? そう思って足元を見ると入り口らしきものがあった。その入り口は固く閉ざされた金属の扉であった。なぜそこに行かないといけないの? そう思ったが従うことにした。

 とりあえず稼働停止する前にあそこまでたどり着けないといけないと思ったからだ。その大きな扉の前に立ったが、何も起きないではないかと思ったが、その瞬間音を立てて何かが動き始めていた。それは何だろうかとミャオは思わずのけぞってしまった。
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