終末の機械娘と猫たちと(完結)

ジャン・幸田

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ニャオのデータバンク

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 海の中に潜った時、ミャオの脳裏、いやデータバンクのはるか昔のことを思い出した。その記憶は彼女のボディーがまだ完全な時のことだと思われるので、人類がまだこの地球にいた時のようだ。

 その頃のミャオは 機械化兵の任務が与えられていたようだ。なぜそのように思うかといえば、武器を持っていたからだ。そしてミャオは潜水艦の中にいた。

 しかし潜水艦の中では外の様子が全くわからない。途中の経緯が不明瞭で理由がはっきり分からないが、仲間の機械化兵か次々と行動不能へ陥っていった。そして最後に残ったのが自分だけであった。

 潜水艦の中で、どれくらいの時間経過したか分からないが、気がつけば自分一人ぼっちになっていた。そして漂流状態になった潜水艦がたどり着いた場所が、今ここにいる海岸であった 。その時、潜水艦の中から出たミャオは自分は取り残されたと思った。世界で唯一の存在いや人間でもないし、なぜ残ったのかその理由は全くわからなかった 。

 そして今その潜水艦の残骸は目の前にあった。おそらく最新型だったはずの潜水艦は腐食により原型をとどめないほどサビサビになっており、今は魚たちの住み替えとなっていた。その潜水艦の中に入るために潜ろうとしたがもはや潜水艦は入ることができないほど、潰れていた。

 機械の類は全てサビの山へと変わり、かつての仲間たちの残骸と思われるものが痕跡だけ残っていた。その残骸の中は骸というもんだろう、ミャオはその一つをあげようとした時ぎょっとした。

  中に人間の頭蓋骨の形をした金属の塊を見たからだ。やはり自分達機械化兵は人間を材料にして誕生したものであった。そういうことはミャオもまた昔は人間だったはずだと思った。それにしても何故、猫たちと長い年月の間待ち続けていかないといけなかったのであろうか? その理由がまだわからなかった。
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